18セーブ 砂糖でできたサンタ ページ18
つまりそう言う環境で他人との付き合い方を学んでしまった僕には、上下関係や年功序列といった常識の知識や経験が圧倒的に足りないのだ。
(本来なら中学校や部活で学ぶことなのになあ)
僕の中学校の思い出と言えば、ざっくり言えば零さんの曲を聴いたりライブを見たりしている時の天国か、もしくは母とクラスメイトからの罵詈雑言と暴力に晒される地獄の二択しかない。
(まあそんな地獄もフェムゲに入ってからは一度もなかったけれど)
フェムゲでは、公共の福祉を害さない程度なら自由が認められていた。隣人を愛し、他人を尊び、そしてお互いに高め合う平和の国。フェムゲ内の法律を破れば、フェムゲ内で罰が下される。現実には干渉しない。
(今考えると、現実では考えられない世界だよね…)
あそこには、人間特有の醜い感情なんてものはなかった。旧フェムゲ民は、達観した価値観と純粋な好意によって構成されていた。
(だから、こんな人間なんていなかったんだよね。どうやって関わっていけばいいのかなあ)
そう心の中で顔を顰めながら、隣でキンキンと大きな声を出している女子生徒をちらりと見やった。
「まじでぇー、やっぱりアタシが一番UNDEADに似合ってるっていうかー！先生、そういうとこ分かってんじゃーん！」
きゃはは、と上機嫌に笑ってくるくるに巻かれた髪を後ろに避ける仕草をした彼女から、全力で鼻を覆いたくなる甘ったるい匂いが漂った。
(うう…何の匂い…？フェムゲの中で食べた砂糖のサンタさんみたいな感じ)
いつだったか、クリスマスシーズンにフェムゲ内でできた友人たちに誘われて参加したクリスマスパーティで食べた、あの体に悪そうな甘さしか感じない砂糖菓子を思い出させた。
(しかも彼女がUNDEADのプロデューサー！？なんか釈然としない！)
瞬きするだけで風が起こせそうな睫、毒々しく真っ赤に塗られた唇、必要以上に赤に染められた頬。そして鼻をつく匂いと、発泡スチロールくらいなら刺さりそうなくらい伸びた爪。
(先端恐怖症の人と繊細な動物から全力で逃げられそう)
大分失礼な評価だと思いながら、そう思わざるを得なかった。
(いや、でも！もしかしたらプロデューサーとしての腕を見込まれてこの学院にやってきたのかもしれないし、彼女の力でUNDEADがもっと活躍できるのなら、僕は…)
無理矢理そう思いなおした僕は、見下ろした紅月の資料を無意識に握りしめていた。
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月夜 黒輝(プロフ) - この後がどうなったのか気になる...！都合のいい時でいいので更新再開を希望します！ (2019年3月19日 18時) (
レス) id: 7066949ba0 (このIDを非表示/違反報告)
ショウ(プロフ) - 更新停止中なのがすごく惜しいです是非作者様のペースで良いので新お待ちしてます！ (2018年10月3日 8時) (レス) id: 217b90edc7 (このIDを非表示/違反報告)
ケト。(プロフ) - 更新停止中なのが残念です……再開されるの楽しみにしてます、頑張ってください！ (2018年6月25日 9時) (レス) id: 522e4f0622 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：西 | 作成日時：2018年1月20日 0時
