17セーブ 所属ユニット発表 ページ17
カリカリと手帳にペン先を滑らせる。僕が動かした通りに、染み出る黒のインクがまだ汚れていないページに線を残した。
文字を書くのは好きだ。書くだけなら僕の自由だし、そこには僕にしか分からない世界を構築することだってできるのだから。
「仕事はやっていくにつれて慣れるでしょう。質問があれば、私達教師かあんずに聞いてください」
メモを取り終わって丁度ペンを置いた時、教室に佐賀美先生が入ってきた。
「あー、皆に書いてもらったユニットの希望を基に、先生たちで話し合った結果がでたぞー」
(きた…！)
その手には一枚の紙が持たれており、椚先生に代わって佐賀美先生が教卓に着いた。
「まず、Trickstarのプロデューサーはあんずだ。まあこれは良いとして…」
そう言って佐賀美先生は一つづつ、ユニット名とそれぞれの専属プロデューサーを読み上げていった。
残念ながら、僕の名前はUNDEADのプロデューサーとしては読み上げられなかったけれど。
(はあ…やっぱり僕には似つかわしくないって思われたのかなあ…)
思わずがっくりと肩を下げてしまう。僕が配属されたユニットの皆さんには失礼だろうが、少しだけ落ち込む時間を下さい。だって、それは長年の夢だったんだから。
(僕に指定されたユニットは…『紅月』、か)
僕に渡されたユニットの資料の束を眺める。先ほど見た資料よりよっぽど詳しくなっているそれの、目次が書かれている表紙を一枚めくってみる。
『紅月―あかつき―。伝統芸能を重んじる和風ユニット。技術を極めた学院のNo2で、小手先ではない完璧な実力で観客を圧倒させる』
その説明文と共に、紅月のメンバ―三人が衣装を着てポーズを取っている写真が印刷されている。紅白のファーの付いた着流しと、下に黒のタイトパンツとブーツ。両腕には白の包帯がお揃いで巻かれている。
(紅月…。完璧で技術力抜群って、僕の出る幕無くない？)
というか写真を見る限り、全員顔が整い過ぎてて目を合わせられる気がしない。サングラス常備で会話する必要があるくらいなのだが、それは礼儀としてはどうだろう。
(礼儀を重んじる人たちなんだよね…？僕、無意識に失礼なことをしちゃいそうだなあ)
と言うのも、僕は約3年間ずっとゲームの中で生活していたわけだ。現実から解放されたそこには上下関係など無く、また上に圧迫されがちな人ばかり集まっていたため敬語もなあなあだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 29人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
月夜 黒輝(プロフ) - この後がどうなったのか気になる...！都合のいい時でいいので更新再開を希望します！ (2019年3月19日 18時) (
レス) id: 7066949ba0 (このIDを非表示/違反報告)
ショウ(プロフ) - 更新停止中なのがすごく惜しいです是非作者様のペースで良いので新お待ちしてます！ (2018年10月3日 8時) (レス) id: 217b90edc7 (このIDを非表示/違反報告)
ケト。(プロフ) - 更新停止中なのが残念です……再開されるの楽しみにしてます、頑張ってください！ (2018年6月25日 9時) (レス) id: 522e4f0622 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：西 | 作成日時：2018年1月20日 0時
