光輝く破壊天使 (ページ49)

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現在の雷門はいまだ0点。更に点差は3だ。
しかし、ハーフタイム中で気持ちを切り替えられたのか、前半戦終了数分間の空気はどこにもない。

稲森君のかけ声に雷門全員が返事をする。
その直後にホイッスルが鳴り響いた。雷門のキックオフで後半戦開始だ。

「後半戦開始から熱いね」

灰崎君がボールを奪った。と思えば、稲森君が奪い返した。
また奪おうと灰崎君が稲森君へと向かっていくが、躱されてしまう。そしてボールは11番君へ渡った。

しかし、その先で待っていた星章にボールを奪われてしまった。ボールは灰崎君の元へパスされた。
難なく繋がったパス。ボールを受け取り灰崎君は雷門へと上がっていく。

さあ雷門。灰崎君が攻め上がってきているよ？どうするんだい？

「……へぇ」

雷門三人が灰崎君の元へ向かって行く。三人もマークを付けさせるとはね。まあ何か考えがあってのことなんだろうけど。

三人のマークに怯むことなく抜け出そうとする灰崎君。しかしそれは、ただプレスしているんじゃないんだよね。

「灰崎、ボール取られた」

「そうだね」

ようやく食べ終わったのか、Aがグラウンドで起こっている状況を口にした。
彼女の言う通り、灰崎君はボールを取られてしまったのだ。

「なぜ取られたと思う？普通のプレスだったら灰崎君はものともしないだろうけど」

「……雷門のいる位置、かな」

「おっ、正解」

恐らく灰崎君に着いた三人は彼のフェイントを見切っている。そして、彼が抜け出さないよう、あの三人は逃げ道をすべて塞ぐようにしているのだ。

……まぁ、そんなことされて灰崎君が気にしないわけがない。むしろ今は苛立っているだろうね。なんたって、自分の思い通りに動けなかったんだから。

灰崎君が奪えないまま、ボールはどんどん前線へ。

「いくぜ！ ”ファイアトルネード”！」

「もじゃキャッ……ぐあああああッ！？」

鳴り響くホイッスル。それは雷門に点数が入った事を意味していた。
3-1
雷門は後半戦にてようやく1点を奪ったのだ。

「くっそおおおおおおッ！！！」

灰崎君の叫び声が会場に響く。
それだけ点を奪われた事が悔しかったのだろう。彼には関係ないのだ、いくら自分たちがリードしていようとも、この試合に勝つ意味がなくとも。

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