光輝く破壊天使 (ページ45)

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「茜は……あいつは、その犠牲になって……！テメェらだけは絶対許さねェ！！」

聞き覚えのある名前が聞こえた。
……しかし、僕には関係のないことだ。

「そう。でも、今のままの君では僕達に勝つ事なんて不可能だよ」

もう話す事は無い。
灰崎君に背を向け、その場を立ち去ることだけを考える。

「A」

「……うん、ゆうま」

こちらを振り返ろうとしたAのフードが、風によって脱がされる。
その際、彼女の顔が露わになった。

「！茜……！？」

「あかね？ ……自分はあかねじゃない。AA」

「！ A……A？」

どうやらAは、灰崎君が自分の名前を間違えられたのが気になったらしい。……まぁ彼の心情は何となく予想出来る。
感情の失ったAを、先程口にしていた人物と重ねたって所だろう。

「！待て、そいつは……」

「行くよ、A」

僕の言葉にAは小さく頷いた。再び彼女にフードを被せ、自分より小さい手を握った。
その手を引かれながらAは大人しく着いてくるのだった。

「灰崎の隣にいたの……雷門の稲森明日人、だよね」

「そうだよ。よく分かったね」

僕と灰崎君のやりとりを黙って見ていた人物……雷門の10番君こと稲森明日人。
恐らく、与えられた雷門のデータから名前を引っ張り出したって所かな。

「うん。……なぜか見てしまうの」

「見てしまう？目を惹かれるってことかな」

珍しい。
A自身から他の人物に興味を示すなんて。

「そう……なのかな。稲森明日人を見ていると、目が眩むような感覚がする」

目が眩む。
それはきっと、彼の存在が眩しいという意味だろう。

稲森明日人は現雷門の光と呼んでもいい存在かもしれない。そして、彼女は光という異名を複数持つ存在……どちらにも共通しているのは『光』だ。
だからこそ彼女は気になったのだろう。稲森明日人という存在に。

「光と影は表裏一体と聞くけど……光同士は共鳴でもするのかな」

光と影は切っても離せない存在だ。しかし、光同士はどうだろう？
光が更にプラスされると、その場所は更に明るく照らされる。どちらかが劣ることはあるものの、潰されることはない。

「これは少し……面白そうだ」

僕の独り言は、緑ヶ丘中の棄権のアナウンスと、それに対する観客の反応によってかき消された。

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