思い出の場所 ページ8
___仮令そうだとしたら、私は君を許さなきゃいけない。
『許さなきゃいけない、か……。』
心当たりは全くない。太宰君は、私に何かしたのだろ……あ、色々してるか。心当たりあったわ。
太宰君は隣のクラス。さっき見たけどいなかった。さぼりかな。
『先生、ちょっと体調悪いので保健室行ってきます。』
「おー、気をつけろよ。」
よくこうしてさぼる私に、先生もあっさりと許してくれる。公認ってわけだ。
保健室とは反対方向に歩き始める。太宰君の居場所に、ひとつあてがあったからだ。
『……やっぱり。』
旧校舎の屋上。そこに太宰君はいた。
『思い出の場所。』
ただし……
殴る音。蹴る音。嗤う声。
まさかと思って近づくと、数人の生徒が何かを取り囲んでいた。中心には、倒れこんだ太宰君。
太「……これは、痛いねえ……」
口元を歪めてるけど、かなりの怪我をしているのは一目瞭然だった。
『思い出の場所……。』
いじめられてる王子様と、最上位の私が初めて言葉を交わした場所。
思い出の場所。
私専用の場所。そこで、いじめ。
『……優しくない。』
ごめんなさい、太宰君。
私は王子様いじめを止めることなく、その場から走り去っていった。
225人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ