もしかしたら ページ7
太宰君に自宅突入されてから数日。
おはようが飛び交う朝の正門で、私に向かってお辞儀をするカースト2位の所謂取り巻きの子達。適当にあしらっていると……
太「やあ!おはよう、A!今日も可愛いねえ♡」
太宰君がやって来た。ご丁寧にハートまでつけて。
『……太宰君、最下位の自覚あるの?』
太「勿論!」
『ないんだね。よくわかった。』
最下位と最上位が会話してる。その奇妙かつ前代未聞の光景に周りがおろおろとしている。その雰囲気に居辛さを感じた私は、取り敢えず太宰君の背中を押して、再び旧校舎の屋上へやってきた。
太「いいねえ、二人の思い出の場所だ。」
『忌々しい思い出。』
太「釣れないなあ。」
うふふ、とまるで女のような上品な笑い方は、この男の特徴なのだろうか。
『___太宰君は、なんで私を気に入ったんだよ。』
太「あ、受け入れてくれたんだ。」
『……ちょっと違う。で、なんで?』
数日間でやられたことは、最早ストーカー並み。メアドや電話番号から始まり、とうとう下着の色まで把握された。半殺しにとどめた私を誰か褒めて欲しい。
鬱陶しい程付きまとわれて、気に入られてないほうがおかしい。いや、そもそも最下位が最上位に「気に入った」と思うこと自体がおかしいのだが。
太「この間も言ったけど、優しい所かな。なんだかんだ言っても、私のこと助けてくれたじゃあないか。それは事実だよ。」
『……私は最上位だ。なんでかは知らないけど。』
最上位。実質、太宰君を最下位に配置したひとりでもある。
『もしかしたら、私が太宰君のいじめを開始させた張本人かもしれないんだよ?』
太「そうかもね。」
私は太宰君の次の言葉に、思わず顔を上げた。
太「___仮令そうだとしたら、私は君を許さなきゃいけない。」
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