隕石3 中編 ページ25
投稿し忘れていた話を入れました。すいません。2021/10/19
「未来あるお嬢さんには
悪いがのぉ…思うんじゃよ。
最後に会うのが君で良かった。」
「そうですか？
私も今日、
おじいちゃんと会えて良かったです。
少しヒーローに対しての考え方も
変わりましたし。」
言われたから返した言葉なんかじゃない、
これは本心から来る言葉だ。
「お嬢さん、名前聞いてもいいかの？」
別にこの人であれば
教えてもいいと思った。
「…Aです。」
「そうかい、親に良い名を貰ったのぉ。」
「ハハ、ハ…そ、そうですかねぇ。」
親にいい思い出など微塵たりともない私、
つい微妙な返事を返してしまう。
「おや、少しデリケートな部分じゃったの！
すまんすまん。」
「別にもう何ともないんで。」
「教えて貰った事だし、わしも言おうかの。
バングじゃ。」
「バングさんですね。
覚えておきます。」
「Aさん、
短い間じゃったが楽しかったぞ。」
そう言う彼に右手を出されて
握手を求められた。
「あ…」
「…？」
本来であれば左手を出すのだが、
私は彼にわざわざ右手の方を出して握手をした。
その時に、辺りに鳴り響いた
今まで以上に大きな轟音。
「あ、あれはっ！」
「…？」
何度見上げたかわからない上を見上げれば
そこには一人の白いマント姿のヒーローが、
拳を振り上げたままの状態で隕石に一人、
立ち向かっていたのだ。
まるで彼を、
ボロスを見ているような感覚だった。
そんな圧倒的な力を私は目にした。
彼一人の拳でその巨大隕石は
綺麗に砕け散ったのだ。
「すごく綺麗。」
そんな事を私を口にしたのも束の間。
粉々になった隕石はその威力こそ落としたものの
その小さなカケラごと落下をし始めた。
ドカン、バカンと…
まるで、この世の終わりのように
辺りに何度か響き渡る落下音、衝撃波
立ち上がる炎、煙に砂埃。
「…うわぁ。」
すぐさま今の現状を理解し、
なんかちょっと引いてしまった。
「そりゃあ、そうなるよね。」
そう言っている間にも
自分の方にも向かって来ている
最初とは比べて格段に小さくなった隕石のかけら。
何処かで聞いたことがある。
家くらいの大きさの隕石が
地上に落ちるとなるとそれこそ
核爆弾以上の爆発が起きるのだとか…
それに…
今の私の横にはバングさんがいる。
流石にこれをほかっておく以前の問題だ。
「バングさん、少し下がってて下さいね。」
少し自分に負担がかかるが…致し方ない。
左手を上空に突き出した私は
神経を研ぎ澄ませた。
「…ふぅ、」
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作者名：おぼろん | 作成日時：2021年9月16日 22時
