美味い定食屋のピンチには立ち向かうべきか？ 後編 ページ2
「あぁ゛？
誰か他にいるのかぁ？？」
グルンと首を180度回転させて
私を捉えたその濁った両目に
身震いをした。
「女子高生かぁぁあ？！
おいおいおい、チイせぇなぁ？？」
「わっ、」
一瞬で私の前に詰め寄ってきたそいつに
私は少し後ろにのけぞったが、
どうやらそれが恐怖していると捉えられたらしい…
「もしかしてこそこそと
隠れちゃってた訳かぁあああ？？？
ギャハハハハ、残念だったなぁ？
声出さなかったら
生き延びれたかもしれないのにヨォ。」
「あぁと…はぁ？」
何とも間抜けな声が出たが、
それ以上気の利いた反応も出来ない私。
申し訳ないが自分はこういった時、
どう行動すれば良いかわからないのだ。
恐怖をしているように見せようか…
それとも、勇敢にも言い返した方がいいのか…
そんな事を考えている間にも
奴は一人でテンション爆上げだ。
「俺がちょいっと一捻りすれば
四肢もすぐにもぎ取れそうだぜぇぇええ！」
「それは…参ったなぁ…」
「いっそ四肢をもいで
一瞬で殺してやってもいいが、
それだと面白味もなんもないよなぁ…
何だったら目ん玉を抉って、
その後は爪を一枚ずつ剥いで…」
私の片腕を持ち上げながら
ぶらぶら揺らしてくる奴は何が楽しいか
私には一切わかりかねる。
彼の持つ「怪人性」に少しばかりが
共感できない所がある故に、
私は正直、安心感も感じてはいたが…
「あの…
それよりも前に聞きたいんですけど…
此処にあった定食屋の…
その、店主さんって…まだ生きてますか？」
「お前、今の状況で
自分よりも人の事心配するのかヨォ？？」
「…そう言う訳じゃないんですけど
ただ、生きてくれているのならまだ
あの美味しい定食を食べれるなって思って…」
「あ？」
私の言葉に奴はその人外の顔を大きく歪めた。
「お前今の状況の恐怖から
いかれたのかしらねぇけどよォオオオオ？
俺を一瞬でも不快にさせたのは
万死に値するぜぇえ？？
よし、きめたぜ！！
お前は嬲り殺しの刑だ！！」
「嬲り殺し？そういうのは、
やめておいた方が…いいんじゃ…」
「ヒーローが来るかもとか思ってんのかぁ？？
俺は強さ鬼以上だぜぇ？？
そんじょそこらのヒーロー
なんて目じゃねぇんだよ！」
「いえ、私はそういうのを
言ってるんじゃ無くてそんな事したら…」
「ウルセェ！！！」
「あっ、」
本当に一瞬、
奴が自身の細長く鋭い爪で
私の命を脅かそうと意識を向けたその瞬間に…
私の中の「神」が牙を剥いた。
罠だとはわかっていたけども？ 前編→←美味い定食屋のピンチには立ち向かうべきか？ 前編
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作者名：おぼろん | 作成日時：2021年9月16日 22時
