【うたプリ×ブラコン】キミと奏でる愛という名のシンフォニーを【part３】

第４１コンフリクト、震える私の手と暖かい貴方の手 ページ41

外に出てみると、涼しげな風が吹き付けている

その風まるで冬の近づきを表しているようだった

そんなさ些細ことが身をもって感じられた


貴方「やっぱ外に出て正解だったかも」


部屋や寮では感じることのできなかった新たな感情

私は無意識にカバンからノートとペンを取り出し、溢れ出してくる感情を思いのままノートに書きつけた

部屋にいるよりもずっと気分もいいし、外に出ることで掴めるものもあるんだな・・・


貴方「あ、このリズムいいかも！」


さっそくいい曲が思い浮かび、無意識に立ち止まって曲を書きつける

すると突然肩に衝撃が走った


貴方「・・・！！」


誰かとぶつかってしまったようだ


貴方「す、すみません！！」


私はぶつかった人にとっさに謝り、衝突した時に落としてしまったノートを拾おうと、ゆっくりとノートに手を伸ばす


貴方「・・・！」


すると、ノートにお互いの手が触れて、私は思わず手を放してしまう

しかし、そんな私とは裏腹に、ぶつかった人は冷静にそのノートを拾い上げ、私に差し出す


　？「まったく・・・何やってんの？」


貴方「あ、す、すみません！！！その、ありがとうございます！！」


私は慌ててノートを受け取り、何度もペコリとお辞儀した


　？「テンパり過ぎ、そんなんだからいつまでたっても１人前の作曲家になれないんだよ」


貴方「・・・え？」

貴方「(い、今、私のこと作曲家って・・・)」


私は慌てて顔を上げると、目の前には私のよく知る人物が立っていた


貴方「えぇぇぇえ！？藍先輩！？なぜここに！？」


私が思わずそう声を上げると、周りの人がざわめき始めた

数分もしないうちに、辺りはしだいに『美風藍がいる』という噂が流れていった

それはやがて大通りまで広がり、辺りはパニック状態となった


『あれって美風藍だよな』

『おい見ろよ、女といるｗｗ』

『写メとっちゃう？ｗｗ』


そんな会話が自然と耳に入ってくる

(こんな状況を写真なんかに撮られたら・・・)


　藍「・・・まずいな」

貴方「・・・ですね」


私は自分たちに向けられているたくさんの視線やカメラに思わず目が眩んだ

もともと人見知りだった私は、軽いパニック状態になってるようだった


　藍「ちょ、ちょっと、大丈夫？・・・とりあえず顔隠して、ついてきて」


先輩は私の手をぎゅっと握り、自分の被っていた帽子を私の頭にポンと乗せて走り出した


― 震える私の手を握る先輩の手だけが暖かく感じられた ―

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