15 羨望と転機 ページ16
決して多い量ではなかったが、Aにとっては今までにないご馳走を食べた気分だった。
食べ終わったのを見計らった様に、少年が話しかけて来た。
『ねえ、君はこんな話を知っている？』
『どんな話？』
そう問うAに対し、少年は半ば誇らしげに「昔話」を語り始めた。
大昔、核戦争でこの星が壊滅状態になり、そんな中ある『神』が「ワープガス」なるものを発明し、動物たちを隣の星へ移住させた。
それ以来、動物たちは緑いっぱいの自然豊かな星で幸せに暮らしているのだと言う。
話を聞き終えたAは、少年にぽつりと言った。
『行ってみたいなあ……』
『きっと行けるさ。僕は行って見せる！』
弱弱しいAとは対照的に、少年は瞳に強い意志を宿しながらそう言った。
「戦争……この星にはそんな恐ろしい事があったのね……」
Aの話を聞き終えたロミは、暗い表情で言った。
「やっぱり、貴方達の星には戦争なんてないのかしら？」
Aの問いに頷く。
「神様が争いを禁じたんですって。だから一度も私達の星では戦争は起きていないの」
「そっか、平和な星なのね」
ロミの言葉に、Aは心から羨ましく思った。
同時に妬ましい気持ちも、少しだけ芽生える。
総長がロミに憎しみの視線を向けたのも、豊かな自然が溢れる星で、自分たちが味わった様な苦労を何ひとつ知らずに生きて来た様子に腹を立てたからなのだろう。
人質を取った事に対して憤った理由については不明だが。
だがはっきりと言える事がある。
妬ましさからロミ達の星を攻めるのは、筋違いだ。
辛い思いをして来たからと言って、彼女らにも同じ思いをさせていいはずはない。
そうでなければ、今まで自分のしてきた事を否定される様なものだ。
何としてでもロミを逃がす！そう決意した途端。
「！！」
突如響いたサイレンの音に、Aとロミは顔を上げた。
「な、何！？」
「落ち着いて、ロミさん」
狼狽えるロミを宥めつつ、Aは外の気配を注意深く探る。
ドタドタと複数の足音。
詳しい状況はさっぱりわからないが、緊急事態であるのは間違いない。
やがてサイレンの音が止む。
ゆっくりとロミを振り返った。
「何が起こっているのか私にも分からないけど、少しでも混乱があれば、それに乗じて逃げられるかもしれないわ。だから、気を強く持って！」
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遠山すずか(プロフ) - REIRAさん» REIRA様初めまして、遠山すずかと申します。当小説を読んでいただき有難うございます。更新はどうしても不定期になってしまいますが、娘様とご一緒に楽しんで頂けますと幸いです。 (7月6日 2時) (
レス) id: b5475744fa (このIDを非表示/違反報告)
REIRA(プロフ) - 娘と一緒に小説を拝読させていただきました。すごくドキドキそして、涙が娘も止まりませんでした 私事なのですが普段娘は、小説などを読んでも意思表示がなく途方に暮れてました。なので娘が泣いたり、ドキドキする小説に巡り合えてすごくうれしく思っております。 (7月5日 7時) (レス) @page17 id: 042df472d9 (このIDを非表示/違反報告)
REIRA(プロフ) - 私も、日常的に、小説を書くのですが、なかなかうまくいかないのとアンチが多く落ち込む時がありますが、作者様の小説を拝見させて頂き凄く元気を頂いております (7月5日 7時) (レス) id: 042df472d9 (このIDを非表示/違反報告)
REIRA(プロフ) - 最後になりますが、お体には気を付け更新頑張って下さい。心から応援しております。こんなながながとした文章申し訳ありません。では失礼致します. (7月5日 7時) (レス) id: 042df472d9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：遠山すずか | 作成日時：2022年6月12日 4時
