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6.Ki ページ30

Ki side




暗闇の中で、矢継ぎ早に誰かの叫び声が上がる。


「陛下の寝所に、曲者だ!」


それを皮切りに、

「灯りを点せ! すぐに捕らえよ‼」
「陛下をお守りするんだ!」

次々と上がる声と聞こえる幾つもの足音…そして、剣先が激しく触れ合う金属音。


未だ夜目が効かない俺の不安は、急激に膨れ上がっていく。


T「ミツ、危ない…‼」


Ki「え…」


T「後ろ…避けて‼」


叫ぶ陛下の声が、聞こえた次の瞬間だった。



グイッ…‼


俺の身体は、後ろに勢い良く引き寄せられて誰かの腕の中に閉じ込められる。


ズザッ…‼


え…今の、音って……


何かが、皮膚を斬り裂くような嫌な音がすぐ至近距離から発した。


誰かが…斬られ、た……⁈


それは、俺の脳裏に一番想像したくない事態を想像させる。


Ki「…陛、下……?」


この場において、一番優先されるべきは陛下のお命の安全だ。

その状況下で、俺のコトを助けるなど…そんな判断を下すとしたら、それは…


俺の身体に震えが、走った。




「曲者が、廊下に逃げたぞ…!」


誰かが叫んで、一気に波が引いていくように幾つもの足音が廊下を飛び出して行く。


「決して逃すな! 必ず生け捕りにしろ‼」


バタバタバタ……‼


足音が遠ざかって行き、再び真っ暗闇の寝所には静寂が訪れた。




ギュッ…


後ろから俺を抱き締めていた腕に力が込められて、すぐ耳元にその人の吐息を感じる。


Ki「…陛下、あの…」


?「………⁈」


恐怖の波は去ったはずなのに、俺の声は震えたままだ。


Ki「あの…先程、お怪我をなさったんじゃ…その、俺の…せいで……」


お命をお守りすべき相手に助けられるなんて、俺はとんでもない愚か者だ!

しかも…


Ki「陛下、すぐに侍医をお呼びし……」


続く言葉は、強引に掻き消された。


Ki「…ゥンンッ、、ンンッ……ゥンンンッ‼」


気が付いたら、俺は唇を塞がれていた。


振り返った俺の後頭部を押さえて、余裕のない動作で荒々しく貪るように唇を塞いで一気に呼吸を奪われる。

驚いた俺が、声を発しかけた時…口腔内に入り込んで来たソレが、俺の舌を捕らえて吸い付いた。


この唇を…知っている……


俺の本能が、そう訴えていた。


Ki「…ハァッ、、ゥンッ、ゥンンッ……」


目眩を起こしそうな強烈な感覚に、頭の中に急速に広がって行く白い靄…。


俺を抱き締める確かな腕の強さに、脳髄から甘く溶けていくような錯覚に酔いしれていった。

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設定タグ:藤北 , Kis-My-Ft2 , 歴史   
作品ジャンル:恋愛
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Mayu(プロフ) - sakyoさん» sakyoさん、2度目のコメントありがとうございます☆すごい絶妙なタイミングだったんですね。実は、私も結構そのテの映像をまえあし3人の姿に脳内変換してます。笑 丁度、たった今まで本作のオマケを『Talk Room』で書いていたので、宜しければそちらもお楽しみ下さい。 (2019年11月3日 22時) (レス) id: 202fbd6d68 (このIDを非表示/違反報告)
sakyo(プロフ) - 完結おめでとうございました!お話がスタートした時にちょうど観た平安貴族そのままの世界を楽しませていただきました。そしてお話が完結するタイミングで今度は宮中儀礼の展示を観てきたところで、展示の儀式を藤北玉に置き換えながらニヤニヤしてしまいました。 (2019年11月3日 22時) (レス) id: e6f004b7a6 (このIDを非表示/違反報告)
Mayu(プロフ) - ももはさん» ももはさん、ありがとうございました!みっくんにしか靡かない光源氏的なF氏…ラストは、既存シリーズに通じる安定の嫉妬深さでした。先の読めない展開…お楽しみ頂けていたら、嬉しいです☆最後までお付き合い頂き、ありがとうございます。次作もご期待下さい☆ (2019年10月28日 23時) (レス) id: 202fbd6d68 (このIDを非表示/違反報告)
Mayu(プロフ) - himacoさん» himacoさん、ありがとうございます☆やっと終わりましたー!私の作品の世界観を気に入って頂けて、すごく嬉しいです。オマケは、実はTさん目線のサイドストーリーの予定ですが、藤北ラブも前向きに検討させて頂きますね☆最後までお付き合い頂き、ありがとうございます (2019年10月28日 23時) (レス) id: 202fbd6d68 (このIDを非表示/違反報告)
ももは(プロフ) - Mayu様、完結おめでとうございます!Fさんの光源氏とても素敵でした。みっくんとだけ、関係を結んでくれるのが理想ですが(><)笑 本当に本当に知らない言葉もあり、とても勉強になりました。さすがMayu様です!先の読めぬ展開に翻弄されていたファンの一人でしたっ☆* (2019年10月28日 21時) (レス) id: db5af09c34 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Mayu | 作成日時:2019年8月11日 16時

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