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10.F & Ki ページ23

F side




F「北山…おぃ、北山……しっかりしろ‼」


水中でパニックになった北山は、オレがその身体に触れた時もはや意識を失いかけていた。


左足に巻き付いた観賞用の水草を刀で断ち切り、北山の身体を仰向けにする。

必死に岸辺に引き上げた時には、北山の身体は水中で熱を失い…唇は、紫色に変色していた。


息、してない……⁈


F「おぃ、北山! 目を開けろ! おぃ、おぃって…‼」

その身体を揺すっても、北山は何の反応も見せない。

オレの全身から…血の気が引いた。



F「………‼」


北山を死なせる訳にはいかない。

そんなの…オレが、耐えられっこない!



次の瞬間、オレは北山の唇に触れていた。


荒々しく唇を塞いで、その口腔内に空気を送り込む。

何度も、何度もその行為を繰り返して…オレは狂ったように必死だった。



F「北山…、目を覚ませ……北山‼」


頼むから…目を開けてくれ……



グブッ…!


突然、北山の口内から、飲み込んだ大量の水が吐き出される。

北山の身体に生体反応が甦り、唇にも赤い生気が戻って来る。


F「…ひろ、みつ……」


頭で考えるよりも、身体が先に動いて…その唇に触れる寸前だった。




T「本当、すごいご執心だね…太輔?」


暗闇から聞こえたその声に、オレは反射的に身構える。


F「裕太、お前…!」


その姿を睨み付けたのは、無意識だった。


F「一体、どういうつもりだ⁈ まさか、北山を殺めようと…」

T「別に」

ちょっと背中に触れただけ、だなんてふざけるな!


F「裕太…お前、あの日から一体何を企んでる?」

玉森が権力を使って、具体的な行動を始めた日…あの春の夜盗騒ぎだって、本当は全て茶番だった。


F「オレが、何も気付いていないとでも思ってるのか⁈ 」

T「気付いていないのは、どっち?」

玉森の双眸が、妖しく揺れる。


T「太輔がオレを受け入れないなら、オレはミツを手に入れる…その身体、オレが隅々まで貪り尽くしてあげる」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
Ki side



T「…ツ、、ミツ……」


その声に、俺の意識が覚醒した。


Ki「殿…下…」


俺を覗き込む不安そうな双眸に、俺は記憶の断片が甦って来る。


ずっと…

誰かに、呼ばれていたような……


濡れた単衣姿を見て、俺はハッとする。


Ki「まさか…殿下が俺を…助けて下さったんじゃ…」


それは、よもやあってはならない事態だ。


そして、唇に残る確かな感覚に、俺は胸が熱くなった。

11.Ki→←9.K & F



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設定タグ:藤北 , Kis-My-Ft2 , 歴史   
作品ジャンル:恋愛
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Mayu(プロフ) - sakyoさん» sakyoさん、2度目のコメントありがとうございます☆すごい絶妙なタイミングだったんですね。実は、私も結構そのテの映像をまえあし3人の姿に脳内変換してます。笑 丁度、たった今まで本作のオマケを『Talk Room』で書いていたので、宜しければそちらもお楽しみ下さい。 (2019年11月3日 22時) (レス) id: 202fbd6d68 (このIDを非表示/違反報告)
sakyo(プロフ) - 完結おめでとうございました!お話がスタートした時にちょうど観た平安貴族そのままの世界を楽しませていただきました。そしてお話が完結するタイミングで今度は宮中儀礼の展示を観てきたところで、展示の儀式を藤北玉に置き換えながらニヤニヤしてしまいました。 (2019年11月3日 22時) (レス) id: e6f004b7a6 (このIDを非表示/違反報告)
Mayu(プロフ) - ももはさん» ももはさん、ありがとうございました!みっくんにしか靡かない光源氏的なF氏…ラストは、既存シリーズに通じる安定の嫉妬深さでした。先の読めない展開…お楽しみ頂けていたら、嬉しいです☆最後までお付き合い頂き、ありがとうございます。次作もご期待下さい☆ (2019年10月28日 23時) (レス) id: 202fbd6d68 (このIDを非表示/違反報告)
Mayu(プロフ) - himacoさん» himacoさん、ありがとうございます☆やっと終わりましたー!私の作品の世界観を気に入って頂けて、すごく嬉しいです。オマケは、実はTさん目線のサイドストーリーの予定ですが、藤北ラブも前向きに検討させて頂きますね☆最後までお付き合い頂き、ありがとうございます (2019年10月28日 23時) (レス) id: 202fbd6d68 (このIDを非表示/違反報告)
ももは(プロフ) - Mayu様、完結おめでとうございます!Fさんの光源氏とても素敵でした。みっくんとだけ、関係を結んでくれるのが理想ですが(><)笑 本当に本当に知らない言葉もあり、とても勉強になりました。さすがMayu様です!先の読めぬ展開に翻弄されていたファンの一人でしたっ☆* (2019年10月28日 21時) (レス) id: db5af09c34 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Mayu | 作成日時:2019年8月11日 16時

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