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4.F ページ5

F side




今朝、(やしき)を出る前に偶然出くわした父上から聞いた話に卒倒しそうになった。


太政大臣「太輔、聞いたか? 内大臣家の末の子息だが、とうとう年内に結婚が決まったらしいぞ?」

F「……‼」

太政大臣「太輔、お前だって遠慮などせずに誰か良い家柄の娘を娶って…」


養父である父上が、その後も何かをオレに諭していた気がするが全く頭に入って来なかった。





F「なぁ、渉…」

Y「次の帝が開く宴で、気になる姫を見つけられなかったら、内大臣様が選んだ家柄の娘と年内結婚だそうだ」

F「そんな横暴な…!」

Y「…2人共、同じ反応するんだな?」

肩を震わせて笑う渉に、オレは苦虫を噛み潰したような気分になる。


Y「気になるんなら、心を開いて、みっちゃんともっと距離を縮めてみたらどうだ?」

F「オレは、別に…」

Y「太輔だって、本当はもうとっくに結婚したっていい年齢だし、太輔の子供ならきっととびきり可愛いぞ?」

F「冗談はよせ、渉!」

オレは、声を上げた。


F「そんなコト、出来るはずがない」

Y「太輔が、子孫を作ったって…誰も責めたりはしない」


渉は、知っている。

オレが、かつて知ってしまった残酷な運命…一人では抱え切れなかったそれを唯一明かしたのは、渉だったからだ。

だが、それが原因で、渉は藤ヶ谷家を去るコトになった。

それが、北山のいる内大臣家だったのだけが、オレにとって唯一の救いだった。



心を開けば、相手に寄り添いたくなる。

そしたら、次には自分の全てを知ってもらいたいと願ってしまう。

でも、オレには許されない。


F「オレは、生涯誰とも結婚しない」


この血を絶やすコトが、オレに出来る唯一の使命だからだ。




T「ねぇ、それってさ…ミツがいるからでしょ? 内大臣家のあの子、北山宏光だっけ?」


振り返って、唖然とした。


Y「これは!」

あの冷静沈着な渉でも、息を呑む相手だ。

Y「東宮(とうぐう)殿下…」


慌てて片膝をついて、地面に控えようとした渉を玉森は静止する。


T「止めて。オレ、そういう風に扱われるの、好きじゃない」

F「何故、こんな所に…」

簡単に口にしてはいけないその名を呼びかけて、オレは思い留まる。


玉森裕太…

我が国で、皇位継承権第一位の存在を知らぬ者はいない…が、大抵の者は拝顔したコトなど殆どないはずだ。

今上帝の次に高貴なその立場は、オレに不思議な感情を抱かせる。


T「太輔、あとでオレの所に…いいね?」

5.Ki→←3.Ki & F



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設定タグ:藤北 , Kis-My-Ft2 , 歴史   
作品ジャンル:恋愛
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Mayu(プロフ) - sakyoさん» sakyoさん、2度目のコメントありがとうございます☆すごい絶妙なタイミングだったんですね。実は、私も結構そのテの映像をまえあし3人の姿に脳内変換してます。笑 丁度、たった今まで本作のオマケを『Talk Room』で書いていたので、宜しければそちらもお楽しみ下さい。 (2019年11月3日 22時) (レス) id: 202fbd6d68 (このIDを非表示/違反報告)
sakyo(プロフ) - 完結おめでとうございました!お話がスタートした時にちょうど観た平安貴族そのままの世界を楽しませていただきました。そしてお話が完結するタイミングで今度は宮中儀礼の展示を観てきたところで、展示の儀式を藤北玉に置き換えながらニヤニヤしてしまいました。 (2019年11月3日 22時) (レス) id: e6f004b7a6 (このIDを非表示/違反報告)
Mayu(プロフ) - ももはさん» ももはさん、ありがとうございました!みっくんにしか靡かない光源氏的なF氏…ラストは、既存シリーズに通じる安定の嫉妬深さでした。先の読めない展開…お楽しみ頂けていたら、嬉しいです☆最後までお付き合い頂き、ありがとうございます。次作もご期待下さい☆ (2019年10月28日 23時) (レス) id: 202fbd6d68 (このIDを非表示/違反報告)
Mayu(プロフ) - himacoさん» himacoさん、ありがとうございます☆やっと終わりましたー!私の作品の世界観を気に入って頂けて、すごく嬉しいです。オマケは、実はTさん目線のサイドストーリーの予定ですが、藤北ラブも前向きに検討させて頂きますね☆最後までお付き合い頂き、ありがとうございます (2019年10月28日 23時) (レス) id: 202fbd6d68 (このIDを非表示/違反報告)
ももは(プロフ) - Mayu様、完結おめでとうございます!Fさんの光源氏とても素敵でした。みっくんとだけ、関係を結んでくれるのが理想ですが(><)笑 本当に本当に知らない言葉もあり、とても勉強になりました。さすがMayu様です!先の読めぬ展開に翻弄されていたファンの一人でしたっ☆* (2019年10月28日 21時) (レス) id: db5af09c34 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Mayu | 作成日時:2019年8月11日 16時

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