4.Ki ページ35
Ki side
宮中・清涼殿ーー。
Ki「…あ、」
思わず漏らした声に、2人が俺の視線の先に反応した。
S「藤ヶ谷太輔…本当、何処にいても目立つな」
2「まぁ、あの容姿だもんな」
S「でも、最近よく見かける」
Ki「…⁈」
2「あの組合せ? 親族なんだから、フツーじゃね?」
少し離れた対屋の渡殿で、何かを話し込む藤ヶ谷と義理の叔父にあたる人物…普段なら何とも思わない光景から、何故か俺は目が逸らせなかった。
藤ヶ谷……苛立ってる⁈
Ki「何か、あったのか…?」
2「え? 何が⁈」
Ki「あ、いや…」
親族との立ち話で、あんな神妙な表情をする藤ヶ谷…普段、無表情なだけに気になった。
S「それより、ミツ…突然の出世街道、驀進中じゃん!」
2「あー、俺もそれ聞いたわ」
陛下からの寵愛、ヤバいんだろ⁈ と言う二階堂に俺は押し黙る。
2「俺の親父が、悔しがってたわ。高嗣も見習え、ってそんなん無理だろ!」
S「でも、父上も言ってたよ。ミツ、もしや後宮入りの話が出るんじゃないか?って」
2「マジか…」
まだごく一部の人間しか知らない陛下からの後宮入りの打診は、もはや宮中では格好の噂となっている。
Ki「…そんな訳ないだろ、2人共馬鹿なコト言うなよ」
だけど、肯定するのは早い…し、あの日陛下に受諾の意向を伝えたコトは、果たして正しかったのか⁈
今の俺には、その答えに自信がなかった。
数日後…
翌日の非番の前に、宿直の順番が回って来た。
真冬のこの季節…正直、宿直は好きではなかった。
清涼殿は、庭に幾つもの篝火が炊かれて寝殿内には暖を取るための火桶が多く置かれる。
T「この冬は、まだ雪が降らないね」
Ki「でも、この冷え込みなら雪がチラつくのも時間の問題でしょう」
T「…ふふっ、そうだね」
真っ白な単衣に
T「時に、ミツ…最近、藤ヶ谷とは会ってる?」
Ki「えっ⁈」
声が、裏返りそうになった。
T「藤ヶ谷太輔…ただの噂なんだけど、彼とミツが親密だって聞いたものだから」
Ki「あ…」
T「ミツは、オレのモノになるんだから…たかが噂でも他の男と親密な関係とか、オレは気分良くないんだけど」
いつもは穏やかな陛下の目が笑っていない事態に、俄かに俺は焦る。
Ki「あの、それは…」
しかし、その声は絶妙な状況で寝所に鳴り響いた。
F「陛下、お寝み前に申し訳ありません。火急の用件で、今宜しいでしょうか?」
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Mayu(プロフ) - sakyoさん» sakyoさん、2度目のコメントありがとうございます☆すごい絶妙なタイミングだったんですね。実は、私も結構そのテの映像をまえあし3人の姿に脳内変換してます。笑 丁度、たった今まで本作のオマケを『Talk Room』で書いていたので、宜しければそちらもお楽しみ下さい。 (2019年11月3日 22時) (レス) id: 202fbd6d68 (このIDを非表示/違反報告)
sakyo(プロフ) - 完結おめでとうございました!お話がスタートした時にちょうど観た平安貴族そのままの世界を楽しませていただきました。そしてお話が完結するタイミングで今度は宮中儀礼の展示を観てきたところで、展示の儀式を藤北玉に置き換えながらニヤニヤしてしまいました。 (2019年11月3日 22時) (レス) id: e6f004b7a6 (このIDを非表示/違反報告)
Mayu(プロフ) - ももはさん» ももはさん、ありがとうございました!みっくんにしか靡かない光源氏的なF氏…ラストは、既存シリーズに通じる安定の嫉妬深さでした。先の読めない展開…お楽しみ頂けていたら、嬉しいです☆最後までお付き合い頂き、ありがとうございます。次作もご期待下さい☆ (2019年10月28日 23時) (レス) id: 202fbd6d68 (このIDを非表示/違反報告)
Mayu(プロフ) - himacoさん» himacoさん、ありがとうございます☆やっと終わりましたー!私の作品の世界観を気に入って頂けて、すごく嬉しいです。オマケは、実はTさん目線のサイドストーリーの予定ですが、藤北ラブも前向きに検討させて頂きますね☆最後までお付き合い頂き、ありがとうございます (2019年10月28日 23時) (レス) id: 202fbd6d68 (このIDを非表示/違反報告)
ももは(プロフ) - Mayu様、完結おめでとうございます!Fさんの光源氏とても素敵でした。みっくんとだけ、関係を結んでくれるのが理想ですが(><)笑 本当に本当に知らない言葉もあり、とても勉強になりました。さすがMayu様です!先の読めぬ展開に翻弄されていたファンの一人でしたっ☆* (2019年10月28日 21時) (レス) id: db5af09c34 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Mayu | 作成日時:2019年8月11日 16時