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6.F ページ19

F side




Ki「何なんだよ、さっきのは…!」


まるで盛りの付いた猫みたいに、全身で威嚇するように興奮する北山。

多分、今上位のオレに対して敬語じゃない事実に気付いてないのだろう。


F「その前に、オレに言うコトがあるんじゃないのか⁈」

Ki「言うコト?」

F「助けてもらったお礼……内大臣家は、子息に良い教育をされている」

Ki「我が家を侮辱する気かっ⁈」

F「実家の品格を下げているのは、お前自身だろう…北山?」


Ki「〜〜〜〜‼」


一切反論出来ない袋小路に追い込まれた北山は、渋々しおらしくなった。



Ki「その…あり、がとう…」


一瞬…ほんの一瞬だ。

目線を逸らした北山の赤く火照った頬に、思わず触れそうになった。


Ki「……⁈」

オレの異変を察知した北山が顔を上げたせいで、上目遣いで射抜かれたこっちが今度は目を逸らす番だった。


この角度…心臓に、悪過ぎるだろ……⁈



F「…で、まだこんな下らない嫌がらせを受けているのか?」

Ki「え…」

F「北山、お前は隙があり過ぎるんだ」

Ki「はっ⁈」

F「大体…」



宮内省は、元々従五位以上の選ばれた者のみで構成された特殊な官省だ。

何故なら、皇族の私生活に密着した公務…それ故に、中務省に次いで花形官省と呼ばれる所以だ。

だから、北山は異例の人事だったのだ。


周囲からの嫉妬も集めた北山が、こんな風に嫌がらせを受けるのなんて目に見えている。

オレは、どれも看過出来なかった。



F「それでも切り抜けられなかったら、『藤ヶ谷に呼ばれている』と言ってその場から逃げればいい」

Ki「関係ないだろ、藤ヶ谷には!」

関係あるに決まってる、と言いたかった。


今、北山は人質みたいなものだ。

玉森の一存で、重鎮が多く在籍する官省への異動を余儀なくされた北山。

内大臣家で自由闊達に育てられた北山にとって、きっとここは息が詰まる場所だ。



F「我が父上は、内大臣殿とも懇意にしている間柄…だから、見て見ぬ振りは出来ないだけだ」


本当は、オレが(やしき)に囲ってでも一人占めしたい存在。

それくらい、惹かれて止まない相手……


玉森は、やはり誰よりもオレの本心を見抜くのが得意だ。



侍従「北山殿、東宮殿下がお召しですよ」

その声に、我に返った。


Ki「…すぐに参ります」

北山が、踵を返した。

Ki「藤ヶ谷殿、では私はこれで…」


F「北山、2人きりの時は敬語は不要だ」


こんなコトを口走るなんて、オレもどうかしてる。

7.T & Ki→←5.F



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設定タグ:藤北 , Kis-My-Ft2 , 歴史   
作品ジャンル:恋愛
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Mayu(プロフ) - sakyoさん» sakyoさん、2度目のコメントありがとうございます☆すごい絶妙なタイミングだったんですね。実は、私も結構そのテの映像をまえあし3人の姿に脳内変換してます。笑 丁度、たった今まで本作のオマケを『Talk Room』で書いていたので、宜しければそちらもお楽しみ下さい。 (2019年11月3日 22時) (レス) id: 202fbd6d68 (このIDを非表示/違反報告)
sakyo(プロフ) - 完結おめでとうございました!お話がスタートした時にちょうど観た平安貴族そのままの世界を楽しませていただきました。そしてお話が完結するタイミングで今度は宮中儀礼の展示を観てきたところで、展示の儀式を藤北玉に置き換えながらニヤニヤしてしまいました。 (2019年11月3日 22時) (レス) id: e6f004b7a6 (このIDを非表示/違反報告)
Mayu(プロフ) - ももはさん» ももはさん、ありがとうございました!みっくんにしか靡かない光源氏的なF氏…ラストは、既存シリーズに通じる安定の嫉妬深さでした。先の読めない展開…お楽しみ頂けていたら、嬉しいです☆最後までお付き合い頂き、ありがとうございます。次作もご期待下さい☆ (2019年10月28日 23時) (レス) id: 202fbd6d68 (このIDを非表示/違反報告)
Mayu(プロフ) - himacoさん» himacoさん、ありがとうございます☆やっと終わりましたー!私の作品の世界観を気に入って頂けて、すごく嬉しいです。オマケは、実はTさん目線のサイドストーリーの予定ですが、藤北ラブも前向きに検討させて頂きますね☆最後までお付き合い頂き、ありがとうございます (2019年10月28日 23時) (レス) id: 202fbd6d68 (このIDを非表示/違反報告)
ももは(プロフ) - Mayu様、完結おめでとうございます!Fさんの光源氏とても素敵でした。みっくんとだけ、関係を結んでくれるのが理想ですが(><)笑 本当に本当に知らない言葉もあり、とても勉強になりました。さすがMayu様です!先の読めぬ展開に翻弄されていたファンの一人でしたっ☆* (2019年10月28日 21時) (レス) id: db5af09c34 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Mayu | 作成日時:2019年8月11日 16時

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