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10.「桃っち」 ページ10

笑い合いながら、俺は内心、今度は自嘲気味に嗤った。
もう、嘘の笑顔にも随分と慣れた。最後に心から笑ったのはいつだっただろうか。そもそも、俺今まで、一体何度心から笑えたのだろう…?
物思いに耽っていると、桃井さんはまた話しかけてくる。
「黄瀬君。そのさ、桃井さん、って呼ぶの、なんで?」
「え?」
なんで、と聞かれても、特に大きな理由はない。ただ、初対面だから。それだけだ。
「なんで、って…別に?普通じゃないっスか?初対面だし…」
「え〜?!堅苦しいよ〜!黄瀬君一年でしょ?同い年だし、もうちょっとなんかないの?私ももっと、黄瀬君と仲良くなりたいし!」
「へ?!」
仲良くなりたい、なんて言われたのは、久しぶりで。今までずっと、女子は何も言わずに勝手にくっついてきて、いつしか離れていくだけの自分勝手な存在だとしか思っていなかった。だからなのか、俺はまた、無性に嬉しくなる。
やばー…。俺、ほんとチョロい…。なんでこうも、純粋な好意に弱いのかな…。
あまり一緒に居ても、別れが辛いだけなのに。頭では理解しているけれど、その好意に甘えたくなる。
「い、良いんスか?俺なんかで…」
「もっちろん!あ、そうだ!黄瀬君の事、『きーちゃん』って呼んでいい?いいよね!」
「あ、は、はいっス!」
ほとんど反射で返事をした俺に、桃井さんはくすっと笑う。
「もう、敬語もいらないよ。タメ口にしよ?ね?」
「うん…分かった。…ありがとっス、桃井さ…桃っち」
「お礼なんていいよ〜!桃っち、なんて呼ばれたの初めてだけど、なんか、可愛い!気に入っちゃった!」
ころころと笑う桃っちに、思わず俺も笑みが零れる。
こんな日々がいつまでも続けばいいのに…。
それは叶わない願いであろうと理解はしていたが、願わずにはいられなかった。

_○/|_ 土下座→←9.桃色の髪



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設定タグ:黒バス , 黄瀬涼太 , 青峰大輝   
作品ジャンル:ファンタジー
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エリジャ(プロフ) - こんにちは。この度はイベント参加ありがとうございます!読ませていただきました。私が思ったのは、行間が少ないのではないかということですかね。内容的には面白いので、あとは読みやすさを工夫すれば完璧だと思います。頑張ってくださいね。 (2017年5月29日 16時) (レス) id: 3c22eecada (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:霧崎玲衣 | 作成日時:2017年4月16日 19時

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