5.「青峰っち」 ページ5
「意味わかんねー。変な頭してんだな、お前」
呆れた目で見られるけど、今はそんなこと気にならなかった。
ただ、ただただ嬉しくて。
「うぅっ…あ、青峰っちぃぃぃぃ〜!!」
「ち？！青峰『っち』ってなんだよ?!っつかなんで泣いてんだ?!もうホント意味わかんねーわお前！」
「だってぇ…、嬉しくてぇ……っ」
こんなに嬉しくなったのはいつ振りだろう。もう何年もこんな感情、忘れていた気がする。
「んー……ほら、黄瀬、泣くならちょっとこっち来い！」
彼は俺の手を引いて走り始める。まだ来て数日の俺にはどこを通っているのかさっぱりだったけれど、青峰っちは迷わず進んでいく。やがて、人気のない階段を上り始めると、俺にも目的地が分かった。
ガチャ
青峰っちは、階段を上りきった先の扉を開ける。
「着いたぜ。屋上、俺気に入ってんだ」
得意げにそう言って屋上に足を踏み入れた彼は、そのまま陽向に腰を下ろして俺を手招きした。俺はまだ熱い目頭を押さえながら、彼の隣に座った。
「…空…ひっく、綺麗…っスね…」
「だな。…あーあ、空飛びてぇなー」
「え？」
唐突なその言葉に、俺はぎくりとする。
今の…まさか、俺の事暗に…？
「…あ？なんだよ、べつにいーじゃねーか、空飛びたくたって。なんかすげー楽しそうじゃん？」
今のは、本当に彼の心情…？
そう、っスよね…。そうに決まってるっス。俺ってば、何をそんな神経質になってんだか。
「な、そう思わねぇ？」
「え、あ、…そう…っスね」
「なんだよー。つれねぇな…そんな、そうでもない、みてーな顔して言われたって、同情されてるみてーで嫌なだけだぜ？なんだよ、飛んだことでもあんの？」
ない、と言えば嘘になる。俺は空を飛ぶことが出来るし、実際に飛んだこともある。でも。
「まさか。そんなこと無いっスよ。当たり前じゃないっスか〜」
まだ、怖い。秘密を話すのは。
「だよなー。あったら驚くぜ」
二人で顔を見合わせて、ぷっと笑う。すると、そこから笑いが溢れてくるように、それは大きくなっていった。
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エリジャ(プロフ) - こんにちは。この度はイベント参加ありがとうございます！読ませていただきました。私が思ったのは、行間が少ないのではないかということですかね。内容的には面白いので、あとは読みやすさを工夫すれば完璧だと思います。頑張ってくださいね。 (2017年5月29日 16時) (
レス) id: 3c22eecada (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：霧崎玲衣 | 作成日時：2017年4月16日 19時
