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「男子になった私」 ページ9

私は、いつもと違う制服をそそくさと身に付ける。本当だったら鏡の前で自分の姿を堪能したいところなのだが。生憎、今の私にそんな余裕はなかった。

いつもより30分程遅く起きた私は、寝癖のついた髪をクシで梳かす暇もなかった。母と父は仕事で既に家を空けている。机の上に『作っておいたよ』と書かれたメモと卵焼きが乗せられていた。


残すのは勿体ないと私は卵焼きを手にして家を飛び出でる。今までに卵焼きを咥えながら猛ダッシュする女子高生はいただろうか。いや、パンなら分かるのだけども。

一応、陸上部ということもあり足は速い。これなら間に合うと、もう少しで閉まりそうな校門をぎりぎり超えた。


下駄箱を超え、3階にある1ー2の教室へ向かう。
私はバンッと勢い良く教室の扉を開けると、当然だが視線が一気に集まった。


「4秒の遅刻ですが」


と腕時計を見ながらそう声を発する先生。そしてざわざわと騒がしくなる教室。
先生は私の方へ視線を向けると、いつもの様に何を考えているか分からないポーカーフェイスで私をジッと捉えてくる。


「……学校はコスプレをするところではないですよ」


その言葉に眉がピクっと動くが、良くよく考えてみればそう言われるのも当たり前かもしれない。
だって私は、男子用の学ランを着ているのだから。

「亜月ちゃん!?」

と驚く楓ちゃんに対し、隣のヤンキーは「焦ってんの?」と余裕そうな笑みを浮かべる。あまり関わりのないクラスの女子が「まさか桜森さんもそっち系の人?」と笑いながら声を放った。

そんなクラスメイトに対して、私は腕を組みドヤっとした顔で言葉を発する。


「私は、今日から男なんだから!」


私のその言葉にクラス中が一気に笑いに包まれた。「マジかよ」とか「頑張れー!」等と嘲ながらそんな言葉をかけられる。
しかしこんな状況でこの先生が黙っている筈がなかった。


「静・粛・に!」


と威厳のある声を発すると生徒は一気に静まり返る。
先生はコホンっと1つ咳払いをすると、いつもの様に冷めた目で私を見つめてきた。私はその目にビクッと体が飛び跳ねてしまう。

先生は静かに口を開くと、


「……他所でやりなさい」


と。心配そうに私を見つめてくる楓ちゃんにも反応出来ずに私はその場に突っ立っていた。「後で職員室に来なさい」と一言言うと先生は何事も無かったかのようにHRを始める。

その間、私はずっとその場から動けなかった。

「彼に宣戦布告」→←「意外とアイツは」



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設定キーワード:恋愛 , LGBT , オリジナル   
作品ジャンル:恋愛, オリジナル作品
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雪見だいふく(プロフ) - 旅人さん» ありがとう御座います。更新頻度は遅めかもしれませんが、楽しみにして下されば嬉しいです。 (2月20日 19時) (レス) id: b9c47787f2 (このIDを非表示/違反報告)
旅人(プロフ) - 考えさせられる小説ですごく良いと思います。更新楽しみにしてます。 (2月19日 13時) (レス) id: 2893bc3ddf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:雪見だいふく | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/mayu02071/  
作成日時:2019年1月9日 20時

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