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いちごオレ20 ページ21

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私は結構現金なんだ。

相手の態度が変わるだけで、自分の心情もコロッと変わってしまう。

他者からしたら扱いやすい性格なのかも知れない。


生で初めて見るおそ松くんの笑顔で一瞬で心を奪われて


多分冗談で言ったんだろうけど、「彼女」というワードを口に出すから、

自惚れてしまいそう。


「ありがとう」と言いたいけれど、上手く舌が回らなくて、

母音の音でしか口から出なかった。


だけど、そんな私の様子なんか気にしないでおそ松くんは

美味しそうにココアを飲んでいく。


そんなにココア好きなんだ…。


よかった…。


一気に距離が縮まった気がして、

そのせいか、はたまた、気持ちが高ぶっていたからか

不意に気になってしまったことを聞いてしまった。


「あの。撮影どうでしたか…?」


「あぁ…」


おそ松くんの、緩みっぱなしの頬がスッと

いつもの怖い表情に引き戻された。

言い終わった後、気に触った事でも言ってしまった…と後悔してしまったが

もう発言は取り消せない。


「まぁまぁ…。監督には誉められたけど。」


「おぉ…」


監督に誉められたって…それはすごい事ではないか。

その業界には足を踏み入れた事は無いけど、

きっとすごい事なんだと思う。

さすが、おそ松くんだ。


だけど、おそ松くんの顔は固いまま。


「別にさ、誉められるのが嫌いじゃないんだけどさ。

逆に嬉しかったし。

だけど、これがいつまで続くかなって…」


「続く…。」


おそ松くんは、手に持っているココアの水面を見つめる。

水面はユラユラと波を打っていて、

おそ松くんは、その様子と自分の気持ちを照らし合わせるかのように

話を続けた。


「今は顔が良いから出してもらえるけど

もし、人気無くなったらバラエティーにも出なくなるし

オレは芸能界から消される。

だかんさ、こんな生ぬるい演技じゃダメなんだ。」



「そんなことない。」と言おうとしたが、

おそ松くんは自分で自分を見つめた結果が、今の状態だと思ったんだと思う。

だから、私ああ言った所でなんにも意味がない。


「頑張ってください。」


だから、私は前向きな言葉で

おそ松くんの背中を少しでも一ミリでも押したかった。

聞こえなかったのかおそ松くんは、

驚きもせず、顔を緩ませる事もせず、


ココアをまた一口飲んだ。


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設定タグ:おそ松さん , 松野おそ松 , 学生松   
作品ジャンル:恋愛
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MERORON - うへあさん» ご指摘ありがとうございます。脱字が多くて…。修正いたしました。 (2019年1月22日 23時) (レス) id: fd95f0d8fd (このIDを非表示/違反報告)
MERORON - どりーさん» レス遅くてごめんなさい!そろそろ頑張って、完結させようと思っています。最後までよろしくお願いします! (2019年1月22日 23時) (レス) id: fd95f0d8fd (このIDを非表示/違反報告)
うへあ - 16は、関節キスじゃなくて間接キスだと思います (2018年12月3日 21時) (レス) id: d83e57132d (このIDを非表示/違反報告)
どりー(プロフ) - あぁぁああ!!!コレ神作過ぎませんか!?キュンキュンが止まらないです!!! (2018年7月10日 19時) (レス) id: f196981f30 (このIDを非表示/違反報告)
MERORON - おそ松がーるさん» いやいや、こちらこそ!お召し上がりありがとうございます( ̄ー ̄ゞ−☆ (2018年5月15日 14時) (レス) id: fd95f0d8fd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:MERORON | 作成日時:2018年3月13日 21時

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