恋人の愛はちょっと重たい1【名探偵コナン/愛され/逆ハー】

30グラム ページ35

阿笠邸には、少年探偵団の子供たちが来ていた。

コナン君は蘭ねーちゃんとお出かけらしい。

ちょっと不機嫌そうな顔で哀ちゃんが教えてくれた。

「Aさん、久しぶりな気がするけど気のせいかしら」

「そうなの。私、米花町から引っ越しちゃったから、なかなか会えなくなって残念よね」

「あら、全てを捨てて心機一転？」と笑って見せる。

「何も捨てたつもりはないけど、どうかしらね」

クッキーだ―とやってきた子友達は口々に

元太「来週、飛行船に乗って大阪まで行くんだぜー！」

光彦「鈴木財閥すごいですよね！」

歩美「すっごく楽しみなんだー！！」と、楽し気にあれこれと教えてくれた。

「Aさんもいらっしゃいよ！どうせ鈴木財閥所有の飛行船だし、一人くらい増えたってどうってことないから！」と、哀ちゃんもノリノリだ。

それは、あれだよね。
キッド君が乗るって言ってた飛行船では――。

会社としては、やっぱり鈴木財閥とのコネクションには魅力を感じる。
そういえば、うちの会社って積極的に鈴木財閥とは絡んでないなぁ……。

キッドに負けると社名に傷がつくから？

他に何かあるのかしら。社長にでも聞いてみようか――。

なんて、週に3日は目下立ち上げ中の「対組織合同本部」に顔を出している私だけれど、やっぱり所属している会社のことを第一に考えている自分にちょっと驚く。

公務員よりも会社員の方が私にはあってるんだよね、きっと。

「そうね。考えてみる。蘭ちゃん経由で園子ちゃんにお願いしてみようかしら。もしも一緒に乗ることになったらよろしくね」と私は笑って、子供たちと一緒にクッキーを頬張った。

.

翌日は、昴さんとともに出社した。
零はもちろん、公安に顔を出している。

社長を捕まえて、鈴木財閥について聞いてみた。

「子会社とはいくつかやり取りしているけど、財閥ってコネクションメインだからねー。うちみたいなところってあんまり相手にしてもらえなくて」と、社長は言う。

最近、私に対して口調がカジュアルになってきているのは、顔を合わせる回数が格段に増えているからだ。

「コネクションさえあれば、会社としては繋がった方がメリットですか？ なんとなく、どんなセキュリティシステムを導入しても怪盗キッドには勝てない気がするので、社名に傷がつくかなと思ったりもするんですが」と言えば

「君もまだまだだなー！あんなの持ちつ持たれつに決まってるだろ？」と笑われる。
　

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