29グラム ページ34
「そういえばさ、キッド君。昴さんがあんなに別人になれるってことは、私も別人になれたりする?」
「そりゃできなくはないけど……。オレがおねーさんに直接メイクすると、最悪命を狙われかねないから。要相談かな?」
と、キッド君は茶化すように笑う。
「でも、本当に必要なら協力は惜しまねーから。もちろん、おねーさん限定で、ね?」
いつでも電話をかけてと、キッド君は笑い、昴さんは咳ばらいをする。
「Aさん、ミルクティーを飲み終わったら、『哀ちゃん』の様子をみてきてもらってもいいですか?」
「もちろん!昴さんのことだから、何か差し入れくらい用意しているのよね?」
「ええ、先日美味しそうなクッキーを見かけたので用意しておきました。
今、子供たちもきているようですし、一緒に遊んできてはいかがですか?
もちろん、私が直接差し入れてもいいんですけど――」
立ち上がろうとするから、私はミルクティーを飲み干して先に立つしかない。
「昴さんはダメ!哀ちゃん怖がってるの知ってるでしょ?
あー、このクッキー、私も好きなやつ。家にも買ってある?」
「ええ、あります」
やったねと笑った私はもう、クッキーのことしか頭にない。
きっと哀ちゃんもこれを差し入れれば喜んでくれるはず。
「キッド君、またね!」
「え? おねーさんもう行っちゃうの? もうちょっとお話ししよう?」という、怪盗くんのどこまで本気かわからない言葉を笑顔で交わして、私は工藤邸を抜け出してお隣の阿笠邸へと向かう。
++++++++++
【NoSide】
「あのさ、昴さん。おねーさんは、天然なの? それとも全部わかった上であーいう態度なわけ?」
キッドは元気に出て行ったAを見送るとテーブルについて、首をひねる。
「半分は天然、半分はもちろん、こちらの意図をくみ取っていると思いますよ。
いきなり、怪盗キッドの本質に近い秘密を暴露するのはやめてもらえませんか?」
「パンドラのこと? いーじゃん、別に。
おねーさんは特別、でしょ?」
「でしょ? って……。
私にとっては特別でも、あなたにとっては別段……」
「んなこといったって、こっちが心を開かなきゃ、おねーさんを射止めることはできねーじゃん」
「諦めるという選択肢をご用意しておりますが」
と、昴は茶化すようにいった後、たっぷりと間を開けて再度口を開く。
「彼女を巻き込むのはやめてください。好奇心旺盛なんですから」
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まつり(プロフ) - いちごさん» ありがとうございます!前回のキッドの時とはまた違うパターンでってイメージでしょうか。承りました。 (2023年1月30日 6時) (レス) id: 6a01f04095 (このIDを非表示/違反報告)
いちご(プロフ) - 続編おめでとうございます、!この話大好きすぎてやばいです。リクエストは、ヒロインが赤井さんと降谷さん以外の男性と親しげに話していてそれにすごーく嫉妬で狂う姿が見たいです、、! (2023年1月30日 2時) (レス) @page11 id: d7cfe12389 (このIDを非表示/違反報告)
まつり(プロフ) - 星良さん» こちらこそ、応援ありがとうございます。リクエストありがとうございますー!いいですね。私も見たい!是非書きたいと思います✨ありがとうございます。 (2023年1月29日 17時) (レス) id: 40409137ce (このIDを非表示/違反報告)
星良(プロフ) - 続編おめでとうございます!! 今回も楽しく読ませていただいています✊ リクエストなのですが、、、蘇芳ちゃんが嫉妬?しているところがみたいです💦 (2023年1月29日 17時) (レス) id: 4e794d85df (このIDを非表示/違反報告)
まつり(プロフ) - やっちさん» やっちさん、こちらこそ、続きまで読んでもらってありがとうございますー!引き続き、よろしくお願いします。 (2023年1月28日 20時) (レス) id: 40409137ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まつり | 作成日時:2023年1月28日 15時