React of the Queen. IV【あんスタ】

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「よ、セナ」



「…、王さま、何で此処にいるのぉ」



「なんか来たくなった！」





堤防の上から海を眺める泉の背後から、にっこり笑ったレオが姿を現す。


鞄をやんちゃに肩に担いで、静かに海風に黄昏れる。





「…帰りたくない？」





そんな泉の問いに、レオは顔を向け、笑ったまま問い返す。





「それはおまえだろ？」





図星の泉は、それに言い返すことなく不服そうな顔で黙った。


それを、レオは可笑しそうに笑っている。





「まあ、おれもだけど！」





彼がやんちゃに振る舞うときは、私達も知っている。



弱っているとき、強がる。

この先輩方はみんなそうだった。





「あーー明日来ないといいのになーーー


そうしたら”明後日”も一生来ないのになーーー」




「…馬鹿でしょ
明日も明後日も来るんだよ、…当然


俺達がいくら寝るのを拒んでも、ね」





「寝るとあっという間に次の日が来ちゃうじゃんっ


あーー嫌だ嫌だ世界の常識今すぐ破滅しろバーカッ」



「みっともないなぁ、止めてよ恥ずかしい」






くすくすと、小さく互いに笑いあう。




海。

私達が”この世界”と本当の意味で直面し

”この世界”の中で必ず私達が集まる場所。



私達の、原点であり、大切な場所。





でもここが、私達の終点ではない。




故に、彼らは背を向ける。






「帰ろ帰ろ、しみったれてもしょうがないし」




「そうだその意気だ！行くぞお！」





揃って、笑いあう。

それがどれだけ美しく、大切なことか。





「あ、ねえ、手、握って、セナ」






急に何、と振り向いた泉は、それ以上何も言わず手を差し出し待っているレオの手を見て黙る。


そうして黙って、その手をそっと握った。



　


「………、セナ、海水でも触った？」




「は？んなわけないでしょ、こんなくそ寒い日に」





お互いの手を握って、きょとんとした顔を揃えて。





「そう言うれおくんだって、手、冷たい」



「そうかあ？

寒いからかなぁ」





それぞれに、己の手に息を吹き掛けて空を見上げる。


暗い夜空には、小さな星々が輝いていた。





「…、ナル、リッツ


どうしてるかなぁ、今」



「…家に帰ってるんじゃない」





「どうかなぁ、おれたちと一緒かもよ、案外」



「…そうかもね」





空に手をかざし、レオは目を細めた。


小さく震えた指先で、遠い北極星を指して。






「A、泣いてないかな」








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