19 - 1 忠誠 ページ2
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時に、レオは獲物を見るような静かで鋭い目で、私を見た。
それはlionのようで、いつも紙を撒き散らして騒いでいる彼とは似ても似つかない様子である。
私が求める答えを、今きっと貴方は必死に探している。
貴方はそういうお人だから。
「…冗談じゃ、ないのでしょう」
聞こえてきた声音、話の内容、話している相手。
『冗談だ』と言うのなら、逆にその話をしていた理由を知りたかった。
「スオー、忘れろ」
Knightsの唯一の1年、未熟者。若輩者。
憧れ、手を伸ばし、これでもかと努力してきた。
先輩方と、1日でも早く肩を並べられるように。
そうはできなくても、その背について行けるように。
なのに、貴方はまだ、私を自ら突き放そうとするのですか。
「いいえ、忘れません
…話したくないというのなら、話さなくても結構
司では何の役にも立てないというのは本当らしいですから」
lionのような瞳が、一瞬横にそれた。
聞いただけでは、理解できるような話ではない。
説明できるのなら親切丁寧に誰でもいいから説明してほしかった。
説明した上で、力強い証拠の上で、『冗談だ』と言ってほしいと願っていた。
「ですが」
どの先輩方も、小さな背中で重い荷物をひとりで背負おうとする。
誰にも頼ろうとせず、小さな優しさで、ひっそりと。
そうして誰からの賞賛を得ることもなく、ひとりで事を為し、平然とした顔で立っている。
その姿に、なんと憧れたことか。
「『おれは『裸の王様』だから使えるものは何でも使う
それが物でも、人でも、″勝つ″為なら』」
エメラルドの宝石のような瞳が2つ、丸く、空で輝く月のように光った。
剣を抜け、抗え。
自分の意に反することならば、例え王にだって。
「貴方が私の王だと言うのなら
私達の女王を、貴方も愛しているのなら
多少傲慢にでも、騎士を、私達を使いなさい
それが王と騎士、私達と貴方と言うものでしょう」
呆れたように、ため息を吐いたかと思えば、今度はふるふると小さく体を震わせて笑う。
「言葉の無礼は、情報の守秘義務で手を打ちましょう
ただし、貴方は金輪際、司に遠慮はいりません
『裸の王様』なんでしょう?『武器』が必要なんでしょう?」
訳がわからないこの『世界』という場所の中でも、私は彼と彼女の騎士である。
「だったら
使えるもの何でも、その手で使ってみせなさい」
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まひる(プロフ) - 雪羅さん» 時間なんて気にしません!!←ありがとうございます。゚(゚´Д`゚)゚。自分勝手な妄想ばかりですがそう言っていただけると凄く嬉しいです(人*´∀`)他の妄想にもお付き合いいただけると嬉しいです〜(*´∇`)ノ (2020年9月23日 19時) (レス) id: f98a768e19 (このIDを非表示/違反報告)
雪羅(プロフ) - 今更ですが完結おめでとうございます!漫画化、アニメ化してほしいほどまとまっていてワクワクするストーリー、とてもすごかったです。これからもまひる様のお話を楽しみにしてます! (2020年9月23日 8時) (レス) id: 97af87c013 (このIDを非表示/違反報告)
まひる(プロフ) - Mashiro Lioさん» 最後までお付き合いいただきありがとうございました!普通のところとシリアスのところの対比が上手く伝わったようで良かったです(*’ー’*)ノまた、地の文に多少英語があるのは、この第4章の視点が司くんの為、和製英語等は英語表記、ということです(*´-`) (2020年8月17日 8時) (レス) id: f98a768e19 (このIDを非表示/違反報告)
まひる(プロフ) - 無気力のおにぎりさん» 最後までありがとうございました!他の作品も徐々に進めますね。゚(゚´Д`゚)゚。ご期待に添えるよう頑張ります(人*´∀`) (2020年8月17日 8時) (レス) id: f98a768e19 (このIDを非表示/違反報告)
Mashiro Lio(プロフ) - 完結おめでとうございます!「シナリオ『spring』へ戻る。」というのが、わかってはいつつも何だかひんやりした感じを受けて、本編との対比が……。最後は無事「ズ!!」に移行できたということですかね。ところで最後の方、地の文に英語が増えたのは、なぜでしょうか? (2020年8月17日 7時) (レス) id: 97626e8ffb (このIDを非表示/違反報告)
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