月と太陽の美しきこと ページ7
.
まっすぐな翠の双眼に、赤い瞳もまっすぐ、そして凛と応えた。
「無い！」
「は？」
きょとん、とした表情のレオが、腑抜けた声を出す。
もりちーは構わず続けた。
「俺達は、自分の為に戦っているんじゃない！
この世界の人々の為！この世界の笑顔と平和を守る為に活動しているんだ！」
そんな大声に、黄色と黒色のスカーフの面々もひょっこり、顔を出してきた。
「お客さんでござるか…？」
「…あ、辻斬りの人ッス！」
わらわらと、あっという間にもりちーのまわりには人が集まった。
「戦うことに、理由なんていらない！
強いて言うなら、世界を守る為、だ！
全ての人々の笑顔を守る為に、俺は戦っている！」
恥ずかし気もなくそう言い放ったもりちーに、まわりはきょとんとする。
でも、そういう奴だとまわりは知っている上でついてきているから、すぐに微笑んだ。
「だそうっす、…月永先輩」
翠はそう、きょとんとしたレオに橋を渡す。
翠も考えることはもりちーと一緒だったらしく、ここの全員の意見を総まとめにしているように、それは聞こえた。
「…そっか
…チアキもおまえらも、そういえばそういう奴らだったな」
噛み締めるように、そう告げて。
レオは目を閉じ、何かを考える仕草を見せてから、口を開いた。
「…あのさ
おまえらだから、聞いてほしい
知ってることがあったら教えてほしい
今のおまえらなら、おれはおまえらが望むものを代価としてこの場でくれてやるよ
だからどうしても、聞いてほしいことがある」
ほんのわずかに偉そうに
でもレオなりに、もりちーたちに僅かだけど、頭を下げ、そう告げた。
「望みなら、おれの首を突っぱねてもいい
やるべきことが終わったなら、それでもおれは構わない」
何の武器にも手を触れず、敵だった連中に頭を下げ、”王”は確かに言った。
それを、そいつは振り払った。
「それは、受け入れられない」
頭を下げたままのレオの瞳が、僅かに見開かれる。
揺れたレオに、もりちーは続ける。
「助けが必要なんだろう？
なら、代価を提示せずとも言えばいい
おまえの首なんか俺は貰ってやらない！
助けが必要なら言えばいい
俺とおまえは、友に剣を交えた戦友なのだから」
赤いスカーフが、潮風に吹かれて揺れた。
はっと顔をあげたレオに、もりちーはただ笑った。
太陽のように。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 240人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まひる(プロフ) - 朔さん» 長かったのに最後までありがとうございました(/´△`＼)そう言っていただけると本当に嬉しいです！新作も是非読んでいただければと思います(*’ｰ’*)ﾉありがとうございました(人*´∀｀) (2019年8月1日 21時) (
レス) id: f98a768e19 (このIDを非表示/違反報告)
朔(プロフ) - 最終章までお疲れさまでした。最初から最後まで楽しく読ませてもらいました。内容もしっかりしてて読んでて凄く楽しかったです！新作、楽しみに待っています！ (2019年8月1日 19時) (レス) id: ba31d19644 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
