第六十五幕『想ひ、業火の如く』 ページ21
.
「……っ」
剣が交わった瞬間に飛んでくるのは空気弾。
それを寸でで交わし、地面を瞬時に蹴って次の攻撃に移る。
舌打ちをした鬼龍が、ひょいひょい動き回るレオを見ながら呟いた。
「…素早さだけは一丁前だな
……だが、…攻撃の威力がねぇんじゃ、それも実らねぇ」
剣を構えた鬼龍が、背後からのレオの攻撃に剣を一振りし
軽くレオが吹っ飛んだ。
すかさずそれにエッちゃんの空気弾が飛び、その後に敬ちゃんの一打がくる。
3対1。
地面に背中をつけ、剣を横にし、敬ちゃんの一打をギリギリで弾いてまた退く。
舌打ちをしたレオに、エッちゃんが掌を向け、告げた。
「ごめんね、月永くん
3対1、卑怯だよね
…でも、僕達はこうしてでも、君達を止めなければいけない
……この世界と、家族を守るために」
その台詞に、レオは渇いた笑いで、ふらふらと立ち上がり赤い剣を横に一振り、払った。
「…この戦いは結果だよ
卑怯でも何でも、勝てばいい
知ってるよ、おまえが守んなきゃならないものも
…でも、おれたちだっておまえらに何としてでも勝たなきゃいけない
………おれの家族を、…あいつを、守るために」
剣を急に、レオは地面に刺した。
その姿に、エッちゃんも鬼龍もぎょっとする。
「…何だ、遂に可笑しくなったのか…？」
「……いや、」
目を凝らしたエッちゃんが、ハッとして構える。
「まさか…」
「…下がれ！英智！鬼龍！」
敬ちゃんが飛びかかった頃には、もうレオは笑っていた。
「燃えろ、“灼熱業火”」
剣を引き抜いた瞬間、辺り一面火の海と化した。
レオの瞳が赤く染まって、レオの体さえ、それは包む。
「…っ……！？」
「…っ」
炎の中から現れたレオは、火で形作られたもう1振の剣を持っていた。
無言のまま、音も無しにその場を駆け、敬ちゃんの背後で一振り。
辛うじて反応したものの、体勢を崩したのをすかさずレオは首元に剣を突き立てた。
倒れた敬ちゃんを立ったまま見下ろすレオ。
「…旦那！！」
それを突き刺すのかと思えば、レオは睨んだ敬ちゃんの額に手当て、何かを呟いた。
すると、敬ちゃんは糸が切れたように気を失う。
「敬人！！」
「…降参しろよ、テンシ
今なら、聞いてやる
…後は、分かるだろ」
動かない敬ちゃんを背後に
レオはそう言って、炎の剣をエッちゃんに向かって突き立てた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 240人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まひる(プロフ) - 朔さん» 長かったのに最後までありがとうございました(/´△`＼)そう言っていただけると本当に嬉しいです！新作も是非読んでいただければと思います(*’ｰ’*)ﾉありがとうございました(人*´∀｀) (2019年8月1日 21時) (
レス) id: f98a768e19 (このIDを非表示/違反報告)
朔(プロフ) - 最終章までお疲れさまでした。最初から最後まで楽しく読ませてもらいました。内容もしっかりしてて読んでて凄く楽しかったです！新作、楽しみに待っています！ (2019年8月1日 19時) (レス) id: ba31d19644 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
