ぶつかり合ふ正義 ページ15
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「…ねえ、ワタル？」
ぼうっと、今にも戦いが始まりそうな荒野のど真ん中で、エッちゃんはそう、何もいない隣に声をかける。
「何ですか、英智
戦いが嫌になっちゃいました？」
不意に出現した妖力陣から、それは姿を現す。
ふわっと、長い水色の紙が舞う。
「いや、いつかは直面する壁だよ
それが今来た、というだけ
…ただ、一体どちらが正しいんだろうね？
どちらも、守りたいものが違うだけで、守りたいから戦う、っていうのは、一緒だろう？
どうして、人は戦うんだろうね
…なんて、おっ始めた僕が言えることでもないけれど」
くすと笑うエッちゃんに、ヒビキは笑った。
「ええ、そうですねぇ、貴方がそれを言いますか
…ですが確かに、貴方が言うこともわかります
人間は難儀ですからねぇ、何でも争いで解決しようとします
武力でなくとも、言葉もありますしね」
「それを言うなら妖もじゃないかい？」
「妖も人もそうですが、人によるんです
戦を好む者、好まない者
そもそも関わらない者、無関心な者
やたら干渉しようとする者
皆様々です
これでこそ人は面白いのですが」
「本当に人が好きだね、ワタルは」
「ええ、愛しい存在だと思いますよ
喜怒哀楽、表情がころころ変わって
感情ですぐに揺れ動かされる
…私達妖には本来、感情なんてものはないはずでした
しかし、人と接することにより、妖も変わってしまった
妖は人の為にあんなにも、戦えるようになってしまった」
遠くを見つめたヒビキに、エッちゃんは黙った。
急な沈黙にも、ヒビキはゆっくりと話を続ける。
「人は愛しい、でもそれでいて驚異です
いつかは私達の姿も変えてしまいかねない
…ですが、結局は人も妖も、変わるのです
きっかけは人それぞれですが
時に間違うこともあります
ですが間違って良いのです、英智
貴方の間違いも、私ならばどんなものでも消せましょう
どうぞ、私をお好きなように」
腰を深々と折ったヒビキの頭に手をのせ、エッちゃんはもう片手で水色の宝石を放り、叩き割った。
「ありがとう、愚問だったね
…僕は僕の信じる道を行く
久しぶりだね、ワタル
…妖力解放
珍しく気分が良いんだ、思う存分、暴れてくれていいよ
僕の望み
おまえが叶えてよ」
伸ばした手に、ヒビキは軽く触れるだけで笑った。
「……ええ、必ずや」
こちらも、守るべきための為に。
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まひる(プロフ) - 朔さん» 長かったのに最後までありがとうございました(/´△`＼)そう言っていただけると本当に嬉しいです！新作も是非読んでいただければと思います(*’ｰ’*)ﾉありがとうございました(人*´∀｀) (2019年8月1日 21時) (
レス) id: f98a768e19 (このIDを非表示/違反報告)
朔(プロフ) - 最終章までお疲れさまでした。最初から最後まで楽しく読ませてもらいました。内容もしっかりしてて読んでて凄く楽しかったです！新作、楽しみに待っています！ (2019年8月1日 19時) (レス) id: ba31d19644 (このIDを非表示/違反報告)
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