第六十三幕『命よりも大切な物』 ページ13
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「…ごめんリッツ」
まだ、その瞳は赤々と揺らめいていた。
目の前の、“今は敵“となった存在を見て、強弱を繰り返しながら。
「…許す
急に此処に飛ばされたのは、皆驚いたけど
セッちゃんもナッちゃんも、Aも
…まあ、…こうなるだろうとは思ってた」
着物をひらめかせて、俺は目の前を眺めた。
きっとこの戦いは正真正銘の本気。
少しでも手を抜けば、こっちが殺られる。
エッちゃんにも守りたいものがある
エッちゃんはああ見えて、この世界を凄く気に入ってる
でもどこか、恐ろしいとも思ってる。
この行く先は、俺達だって、あいつらだって、誰もわからない。
「…俺は、俺の守りたいものを守るだけだから」
「…ん」
ゆっくりと、互いに剣を抜いた。
その剣にまとわりつく、赤い焔。
「業火、狂喜せよ
我此の剣抜かんとすべし時、我が血肉、我が剣の業火の糧とならん」
『重ねて業火、乱舞せよ
我此の剣振るわんとすべし時、我の全て、我が剣の振るうがままに
喜怒哀楽、我の全てを以て、此の剣の礎とならん』
凛、と赤く輝く。
辺り一面が焔に覆われた。
剣を振り払った。
久々に、体が熱い。
何故か心が躍る。剣が軽い。
腕にはレオと同様、随分と久しい、赤い紋様がついていた。
『今此処に、我が”鬼神”の力、顕現せよ』
「…おれの剣となり盾となり我が身に大いなる力をもたらせ
…そして舞え、リッツ
己の為すがまま
自分の守りたいものを、その力で」
「…イズミさん
…レオさん、リツさん」
悲しそうな瞳が、揺れたそれを捉える。
セッちゃんもそれを見て、酷く悲しそうな眼をした。
「…大丈夫だよ
あんたには俺がいる
……だから委ねな
Aの全部、この俺に」
その瞬間、ブワッと蒼い玉が舞う。
俺の焔の勢いを、それは一部掠め取った。
『……泉石煙霞
我が望みのあるがままに、この力を振るわん
渇驥奔泉
外敵有る物全て散らし、我主の、思うがままに』
開いた瞳が、一気に青く輝いた。
それにつられ、Aも口を開く。
「我が身を持って命ず
泉より出でし我の力
主の元、それを解放し主の命を尽くす
…清らかな泉の元に悪を沈めよ」
「…良い子
大丈夫、俺が全部、守ってあげるから」
優しい妖の、静かな誓い。
悲しい笑顔で、それは始まった。
伸ばされた手と手が、触れぬまま。
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まひる(プロフ) - 朔さん» 長かったのに最後までありがとうございました(/´△`＼)そう言っていただけると本当に嬉しいです！新作も是非読んでいただければと思います(*’ｰ’*)ﾉありがとうございました(人*´∀｀) (2019年8月1日 21時) (
レス) id: f98a768e19 (このIDを非表示/違反報告)
朔(プロフ) - 最終章までお疲れさまでした。最初から最後まで楽しく読ませてもらいました。内容もしっかりしてて読んでて凄く楽しかったです！新作、楽しみに待っています！ (2019年8月1日 19時) (レス) id: ba31d19644 (このIDを非表示/違反報告)
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