# Take 62 ページ15
感染予防からか、マスクをしたお兄ちゃん。
看病、とは言っても然程することはなくて、
相当暇らしく床に紙を出して作曲なんか始めてしまっている。
散らかさないだけ、まだ全然良いと思うが。
普段はこんなに静かに作曲するお兄ちゃんが
何故部屋をあんなにも紙だらけにするのであろうか。
そんな疑問だけが、私の頭の中をぐるぐると回っている。
「A?
なんか俺についてる…?」
いつの間にか、お兄ちゃんは私の方を向いていて
困ったように、笑って見せていた。
「……あっ………ううん、…!!
…別に、何もないよ」
そうだ、お兄ちゃんは卒業したら留学してしまうのだ。
先輩だって、本格的に仕事が始まってしまう。
本来ならば、ここで私に構っている暇もない。
「……お、お兄ちゃん、」
「ん?」
お兄ちゃんは優しすぎるから、
私を見ればすぐに笑ってくれる。
私はその笑顔に甘えすぎている。
「……その、私なんかに構ってなくたって
…学校とか、行ってよかったのに、
…嵐とかと、Knightsで、…ライブも近いし、練習しなきゃいけないでしょ…?」
私とお兄ちゃんは違う。
先輩と私も、凛月くんと私も違う。
私は単なる一般人なのだ。
「………」
黙り込んだお兄ちゃんは、僅かに目を細めた。
いつの間にか、口元の笑みも消えている。
「……、……おにい、」
次の瞬間、お兄ちゃんは私の頬をつまんで
それぞれ左右にぐいーっと引っ張った。
「…ふにゅ………!?!?」
「おまえは何だ、赤の他人か?
それとも、仕事のマネージャーか何か?
…おまえはおれの家族だろ」
翡翠の瞳は凛と私を捉えている。
嗚呼、これは怒らせてしまった。
「…おれはおまえの兄ちゃんだ
おれの妹は、おまえだけ
遠慮することなんて何もない
…妹の傍にいるのに理由なんているのか?
おれはおまえの家族だから
風邪引いてるときは看病させろ
兄ちゃんらしく、心配させろ
…何に悩んでんのかは知らないけど
おれはいつでも、Aの味方でいるから」
最後には、お兄ちゃんは必ず私の頭を撫でてくれる。
優しく、笑って。
「ご飯作ってくるから、待ってて」
私はお兄ちゃんの優しさにいつも、甘えてしまう。
私はいつまでも、兄離れができないのです。
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『恋煩い、兄の優しさに消ゆ』
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まひる(プロフ) - L:eta-starさん» ありがとうございます…!最近更新が遅めなのですが…それでも楽しんでいただけているようで何よりです!これからも精進します…!σ(*´`*) (2018年3月17日 9時) (レス) id: 203be79402 (このIDを非表示/違反報告)
L:eta-star - はじめまして、とても素敵です!お兄ちゃんしてるレオかっこいいです。瀬名もかっこよくて,,,,応援してます! (2018年3月16日 23時) (レス) id: e6de48871a (このIDを非表示/違反報告)
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