# Take 61 ページ14
ピンポーンという、インターフォンの音。
遠くに聴こえたかと思えば、今度は足音が近付いてくる。
扉をノックする音が、すぐそこで聴こえた。
『A？学校行く時間だぞ〜…？』
間違いない、お兄ちゃんの声。
対して私は、部屋着のままでまだ布団の中にいる。
動く気が出ない、頭がぼーっとする。
『…A、入っても良い？』
声を出すことさえ面倒くさくて、
お兄ちゃんに部屋に入られることは嫌だったけれど
ついつい「うん」と呻くような声を出してしまった。
「…A、どうした？
具合悪い？熱あるのか？」
ベッドの脇にしゃがんだお兄ちゃんが、
布団に埋もれて顔だけ出す私の額に触れた。
その手は、酷く冷たかった。
「熱あるかもな〜…、
…頭とかは痛くない？」
軽く頷いて見せると、お兄ちゃんはそっか、と優しく微笑んで、
私の頭をそっと撫でた。
時計の針は、もう1限目には間に合わないであろう時間を指している。
「何か食べたいものある？」
「……お兄ちゃん、…学校は……？」
「妹一人おいていけるわけないだろー？」
くすとお兄ちゃんは笑って、
ケータイ何処いったっけ、と廊下へと消えて行く。
お兄ちゃんは聞かないけれど
何かあったの、とか聞かれでもしたらどうしようかと思った。
凛月くんと顔合わせできないし
先輩に会うと泣きたくなるから
学校に行けない、なんて言えるわけない。
熱があるかも、とお兄ちゃんは言っていたから
もしかしたら、それが私の思考をマイナス思考に傾けているのかもしれない。
風邪が治れば、きっとこれも治るだろう。
「あ、セナ？ナルもいるの？
朝練…？あー、そうだっけ……？
ごめんごめん、今日はホントにサボりとかじゃなくて
うん、」
困ったような顔をして現れたお兄ちゃんの片手には、
探していたであろうケータイ。
”セナ”と言っているから相手は先輩。
「今日学校休むから
うん、………え？うん」
お兄ちゃんはただでさえ卒業時期だし、
そんなに休んでもいられないのだろう。
また、申し訳ないことをしてしまった。
「明日には行く、…うん
ありがと、うん。」
どれだけ他人に迷惑をかければ気がすむんだ、私は。
隠れるようにして、私は頭まで、布団を被った。
.
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『恋煩いで学校をお休みします』
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まひる(プロフ) - L:eta-starさん» ありがとうございます…！最近更新が遅めなのですが…それでも楽しんでいただけているようで何よりです！これからも精進します…！σ(*´｀*) (2018年3月17日 9時) (
レス) id: 203be79402 (このIDを非表示/違反報告)
L:eta-star - はじめまして、とても素敵です！お兄ちゃんしてるレオかっこいいです。瀬名もかっこよくて,,,,応援してます！ (2018年3月16日 23時) (レス) id: e6de48871a (このIDを非表示/違反報告)
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