2 - 1 執着 ページ9
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ぎゃーぎゃー騒ぎ回った”後輩”を落ち着かせると
整った正座をした彼は、深々と頭を下げた。
これを、土下座と言う。
「大変失礼致しました、お姉さま
つきましては、お詫びと言ってはなんですが、何でもひとつ、お申し付けください」
「いいよ、頭上げて」
「…まさかAの顔面にスーちゃんの開けた扉がねぇ」
いつもは面白がりそうな凛月も、この光景を見るなり何やら考えてるようで自棄に静か。
テーブルに座り足を組んだ少年が、手にした紙をひらひらと振った。
「やあっと来た
泉ちゃん、DDDの申請書来たわよォ？」
「…ああ
…わかった、あと判子貰ってくるから」
彼は紙を手渡すなり化粧をし出す。
紙を渡す際、僅かに下にそれた泉の瞳を見ながら。
「…ええ、よろしくねェ」
紙を手に、俯いたままの泉が不意に呟く。
「………あのさ
生徒会室にさっき行ってきたんだけど
ゆうくんウチに入れることにしたから」
「はァ？
ゆうくんって、あの眼鏡の？」
布団に寝転んでいた凛月の瞳も、僅かに開いた。
1人の少年だけが、状況が飲み込めない、という顔をしている。
「ゆうくん、というのは誰ですか？瀬名先輩」
「司にはわからない子
2年生だよ
Trickstarの」
「Trickstarですか？
何故そのような方を？」
「ほら、Trickstar、解散したから」
『嵐』がそう言ったのを、少年は複雑そうな表情で聞く。
凛月も、枕を抱き締めたまま一点を見つめていた。
「俺、暫く練習出ないから」
「え、瀬名先輩、ちょ」
まるで紙を取りに来ただけのように、紙を受け取っただけで泉は出ていった。
静まり返ったスタジオの中で、『司』だけがきょろきょろと、忙しなく動く。
「あの、lesson…」
「…、私見てあげるよ
まずは踊ってみて」
ぱあっと明るくなったその表情には、何処か彼の笑顔が重なった。
「ほんとうですかっお姉さま…！
ありがとうございます…！」
「…A、俺も」
ぬくぬくと起き上がった凛月に、少し驚く。
また凛月は、シナリオにズレて動いた。
「…、うん、いいよ
嵐は？」
「アタシもやろうかしら
ほどほどにやったら帰るわァ」
空の夕焼けは酷く赤く
桜の花びらはひらひらと散っていた。
「じゃあ今日は、軽くやって終わろっか」
私にも、行くべき所がある。
シナリオを、変える為に。
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2 - 2 希望→←Story 2『 atonement for our’s sin』
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