4 - 6 天空海闊 ページ28
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涼しい風に、海。
全員、こういうのには乗り気でズカズカ海に飛び込んでいくのかと思いきや
砂浜に座ってただ海を眺めるか
波打ち際で静かにぱしゃぱしゃと波に触れるだけで、飛び込む者は意外といなかった。
「もう少しこっちに来い、A！
楽しいぞ！」
夕焼けを背後に、”太陽”はぱっと笑う。
何処か、鉄虎に似ていた。
その傍で、鉄虎も手を差しのべて。
「A姉！翠くん！
来るッスよ！
めっっちゃ冷てーッス！！」
「…そりゃそうだろうね、季節外れだもん…
俺達以外人っ子一人いないわけだよ…」
そう言いつつ、翠は歩いて波打ち際に行く。
振り返って、彼もやはり手を差し伸べた。
「…行きましょ、A先輩
断っても、引っ張られますよ
少なくとも、ウチの隊長には」
手を引かれるがまま傍まで行くと、千秋が何かを差し出してくる。
小さく、真っ白い貝殻だった。
「A、こういうの好きか？
綺麗だぞ！その貝殻！」
手に取り見るほど、その白さがよくわかった。
「…千秋くんも貝殻探しするんだ
即行海に飛び込むタイプだと思ってた」
「何でだ！？
…だがまあ、流石にこの気温で飛び込めば風邪を引いてしまう
俺はお前たちが思うほど体が強くないらしいしな」
「そっか、千秋くんが風邪引いちゃったら大変だし
気を付けてね」
「Aもだ
程々に楽しめ、A！
自然は心を癒してくれるぞ…☆」
わっはっは、と笑った千秋が、忍法の練習をしていた『忍』に話をふっかけにいく。
それをぼんやり見ていると、青い彼は楽しそうに笑った。
「ちあき、たのしそうですね
こどもたちも、よかったです、たのしんでくれて…♪」
言われて辺りを見渡すと、鉄虎と翠は一緒に貝殻探し
千秋と忍は忍法の練習と、みんな何だかんだ楽しそうだった。
「私と話していいの？…奏汰くん」
「ぼくは、りゅうせいたいのいちいんの、ぶるぅですからね…♪」
そう、奏汰は水に触れて言う。
「もうすぐ、なつ
”なつ”といえば、あなたには『たしょう』なりともつらい『じき』ですね」
自分でああは言ったものの、奏汰はアイドルらしくない事を口にする。
「なきたくなったら、きてもいいですよ
ぼくたちは、
…こまっているひとの『みかた』のようですから」
他人事のような彼の台詞は
初めて聞くけれど、妙な暖かみと懐かしさがあった。
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