3 - 3 贖罪 ページ18
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「…ごめん」
目をそらされ、俯き、泉は急に言う。
………何で？
なんで、謝られてるの…？
「…俺のせいで」
小さな、声。
聞いたこともなかった。
何でこんな顔をさせているのか。
「…だって、泉は『ゆうくん』を守ってあげたかっただけでしょ…、？
…私達だって、Trickstarは早い段階で、
……潰せって言われてた、…訳だし」
「でも結局ゆうくんは自分の居場所に帰って
俺達は大層無惨な負け方して
…汚名を被った」
弱々しく触れられた手は震えていた。
自分の手の震えも止まらない。
小さいか、大きいか、そんなのわからない。
震えが止まらない。
頭も回らない。
『シナリオ』が書き変わって、
「……謝らないで、
…泉だけが悪い訳じゃ、」
「…A、ずっと元気無かったから」
「……え、？」
「…勝たせてやりたかったの
……A、好きでしょ
俺達の色の、サイリウム」
それだけ言って、深呼吸して
泉は私に何かを押し付け、無茶に笑った。
「…なんてね、ごめん、押し付けになっちゃう
ちょっと動転してただけ、
…誰かに聞いてほしかっただけだから、忘れて」
押し付けられた物は、小さな、レコーダー。
今日のライブを録音したものだろう。
震えた手から、こぼれ落ちそうになって
それをぎゅっと掴んで、叫んだ。
人は少ないが、ぱらぱらと通る人が奇妙なものを見るように、目を細めた。
「泉……っ」
ユニット衣装のままの彼は笑ったままで
ひらりと手を振る。
「ちゃんと汚名返上する、
明日には、普通にするから」
足は動かず、だからといって手も動かない。
言葉にしようにも何を言えばいいかわからない。
何度繰り返していたって、こんな場面はなかった。
『シナリオ』になければ、うまく喋れないし動けないのか。
それじゃあ本当にただの人形じゃないか。
『おまえには、わかんないだろ…っ！！』
木霊する、妙な影。
「……ダメだ、気分転換しなきゃ」
手は未だ、震えている。
耳に聞こえる音はどれも、大きくうるさい。
ただ、校舎の中から眺めるサイリウムの光は
本当に好きな色ではないが
美しく、綺麗だった。
「…アレ、姉さん
どうしたノ、こんなところデ」
彼は、妖艶な笑みを浮かべていた。
「…、夏目」
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