3 - 1 デフラグ ページ16
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「……、」
ステージの上はどんちゃん騒ぎ。
いくらKnightsが実力派だからって
これでは旗色が悪すぎる。
何度も見た光景。
でも、ふたつ、違ったことがある。
『真』が、ちらちらとこちらを見ている。
観客でもなく、隅にいる私を。
あっちにも、プロデューサーはいるだろうに。
「こんにちは、A先輩」
隣で笑った少女に、咄嗟に笑顔を作る。
この子が嫌いなわけじゃない。
でも少しだけ、妬ましい。
「凄いね、Trickstar
観客、ほとんど呼んだんだね
普通科の生徒がやたら多い」
「…すみません
勝つためには、こうでもしないと」
素人としてこの学院に入り、Trickstarという超新星を
革命児としてこの学院の頂点まで導いた。
その力があったなら、この子達に辛い想いをさせずに済んだかもしれないのに。
なんて、皮肉な程の妬み。
どうしようもない。
「こっちも、悪いことしたからね
…お互い様だよ
これも戦略のうち、ってね」
ひらりと手を振り、その場を離れる。
遠くでは、fineと流星隊らしき声も聞こえた。
Trickstarは一人じゃない
人を惹き付ける力を持ってる、託された存在。
だから流星隊も、UNDEADも、それに加担した。
Knightsがそうじゃないわけでもないけど
少なくとも、キャラではない。
孤高の個人主義ユニット。
冬には、そうではなくなるけれど。
冬まで待っていたら間に合わない、けれど。
結局どうしようもなく、行き詰まっている。
……そう、もうひとつ、違ったこと。
泉が浮かない顔をしていた。
客には勿論ファンサービスをする。
けれど、不意に見せる顔が、いつもの泉じゃない。
「……干渉しすぎた」
口を覆って、軽く頭を抱える。
真と泉のイザコザに強く干渉しすぎた。
それで、泉の中に何かが生まれてしまった。
シナリオは、確定事項ではあるが
変えるのは容易だ。
かなり強固な意思でなければ。
それに少しでも『演者』が迷いを持っていた場合
”心”は簡単に揺すられる。
シナリオにとって、”心”は凶器であり、鍵である。
明るいペンライトの光が一気に光った。
一層強い歓声が、その場に響く。
『シナリオ』通り、KnightsはDDD初戦を敗退した。
「……ごめん、センパイ
負けちゃった」
申し訳なさそうな表情の嵐に
私はただ、軽く笑って首を振るだけだった。
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3 - 2 雷鳴→←Story 3『 secret loneliness 』
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