2 - 3 黒影 ページ11
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家に帰っても、誰もいなかった。
一人で、ご飯を食べて、寝る。
今日はパソコンを開いて、ウォークマンを繋いだ。
イヤホンを耳にいれて、目を閉じる。
『もう既にその理由は知っている』
実力派と言われるだけあって、歌も文句なしで皆上手かった。
泉は、初め特訓していた時期もあったけど。
『引き寄せられ重なった瞬間に』
一人の空間で、彼らの音楽を聴くのが好きだった。
『辿り着きたい…』
途中で、携帯が鳴る。
『凛月』、の文字があった。
「凛月？
夜で元気だからって、こんな時間に…」
『ねえ、セッちゃん
”ゆうくん”を閉じこめてるっぽい』
急なその話題に、逆に驚いた。
「…え、
椚先生に、Trickstarは捻り潰せって言われてたけど…」
知っていた。
今の時点で彼を連れ戻すことはやっぱり不可能だ。
Knightsの没落は免れない。
『…案外驚かないんだ？』
「…相手はあの”ゆうくん”でしょ
泉ならやりかねないとは思ってた」
あの精神状態だからこそ
あんな彼を見たからこそ
自分が可愛いと思う子は、必死で守ってあげたいんだろう。
『…まあ、ライブまで何しでかすかたまったもんじゃないし
様子見ててって、言いたかったの
俺は楽して勝てれば何でもいいんだけどさ…』
「…それだけ？」
自然と、そう口にしていた。
凛月も、そう訊かれるのはお見通しだったとでも言うように。
『…、…今日、”王さま”の家に行ったんでしょ』
「……ああ、…泉がね」
『…違うよ、Aが
セッちゃんも行ったんだろうけど』
今日ずっと、彼はシナリオをズレている。
でも、”シナリオ”を知ってるのはたった6人。
他人はシナリオを無意識に、”勝手に演じる”。
それが、”勝手にズレる”なんてことはあるんだろうか。
「…ねえ凛月」
『…ん？』
もしかしたら彼もこのシナリオに気付いているのだろうか。
これから自身が陥っていく、Knightsの改変にも。
「…、」
どう、言えばいい。
言って、もし違ったらどうする。
同じ年をもう何回も繰り返していますだなんて、実感の無い人間に言えば混乱するに決まってる。
況してや、これから大事なDDDを控えているのだから。
『A…、？』
「……、ううん、何でもない
レオ、”いつも通り”だったよ」
そんなこと、
言えるわけ、なかった。
『……そっか。』
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