1 - 1 空の果て ページ2
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「…、」
屋上で、少女は風に揺られる。
肩までのさらさらな茶髪は風に揺られ
膝上のスカートは、際どいところで止まる。
彼女が手にした紙が、空へひらりと舞う。
ぽつぽつと、降ってくる雨。
遠くで雷鳴、黒い雲は風に押されて流れてくる。
飛んだ紙にぽつりぽつりと広がる黒い染み。
少女は雨を浴びながら、ただ屋上で立っていた。
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「…かぜ、ひいちゃいますよ
A」
「…奏汰
………私、また」
「…だいじょうぶ
ことしはなにをしてあそびましょうね？
とびいりらいぶ、とかしてみましょうか…♪」
そう笑いながら、少年はそっと静かに手を差しのべる。
少女はその手をとる。
「…A。
れいも、わたるも、しゅうも、なっちゃんも、ぼくも
ちゃんとおぼえてます
…Aはひとりではありませんよ」
振りだした雨は瞬く間に、
誰もいなくなった屋上を真っ黒く染めた。
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「……、もう何度目か、のう、渉くん」
「Aも、きっとしたくてしてるわけではないのだと思いますよ、零
…Aにああさせざるを得なくさせるモノ、
……まあ、大体はわかっていますけどね」
窓枠に座って外を眺める少年に、それを立って眺めるもう一人の影。
「…それを教えないというのも
少し心苦しいんだがのう」
「……しょうがないでしょう
…Aがあまりに可哀想ですから」
「…全く、難儀なものじゃのう
乙女心は」
「…全くです
ねえ、宗？」
ふと微笑んで、話を振られた彼は、壁に寄りかかってため息を吐いた。
「…結局のところ、誰もあの子を守ってあげられないんだろうね
あの『騎士』を名乗る輩も、僕達も全員」
そう彼が言ったのと同時に、暗い部屋の扉が開いて、ひょっこりと赤い頭は顔を出す。
「にいさん達、ここにいたんダ
…始まるヨ、また一年ガ」
ひらりと手を振るのを見送って、『零』は大きく背伸びをした。
「…あぁ、つまらんのう…
渉くん、今年は我輩らに負けてみないかえ？
…もう飽きたんじゃよ、同じ日々には」
「そんなことを言うのなら、違う負け方を考えてみては？
…こちらも『Trickstar』に負けるのですから、これ以上は名に傷がつきます
お遊び相手なら、零であればいくらでも受けてたちましょう…☆」
「…ああ、忌々しい…
静かにしたまえ、みっともない…」
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