158 零れそうな涙も ページ8
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この涙を、雨に紛らすことはできるだろうか
涙を紛らせられたって、きっとこの眼は誤魔化せないのだろう
「お姉様」
「……司?」
少し息を上げた司の手には、大きな傘。
傘が広げられて、頭上の空を隠した。
「風邪を引いてしまいますよ、お姉様
少し屋根下へ参りましょう、towelがありますので」
「……風邪くらい大丈夫だよ、」
呟いた私に、司は少し不機嫌そうに言い返す。
「いいえ、よくありませんよ
お姉様はただでさえ体が弱いのですから、こうしたことで体調を崩してはいけないのです」
屋根下に入って、頭に被せられたタオルは温かくて。
「私はまだ未熟者ですから、お兄様方の様に気遣いは上手くできません
手加減も、できません。
ですが、お姉様が困っているのならば司はお姉様の助けになりたいのです
今までは、unitで唯一の一年の未熟者でした。
未熟者なのは、まだ変わりません
しかし、私にもこの一年学んできたことがあります。お姉様方と過ごしてきたのですから、少しのdifferentには気付きます
隠し事をなさらないでください、お姉様
司の願いを聞いてくださいまし」
優しく頬に触れた手も、温かくて
冬の雨はとても冷たく感じられた。
「私はお姉様に笑っていてほしい
お姉様の笑顔が、何よりも力になります
司を頼ってください
お姉様のknightとして、私はここにいるのですから」
knight。
聞きすぎて、正直聞き飽きてもいた。
「…司、私はみんなのこと好きだけど
そういう、異性として好きっていう目線でみんなを見たことがない
どうすれば良いんだろう
………答えなんて出せないよ、」
俯いた私の顔をあげて、
唇に温かい熱が触れた。
「……つかさ…っ?」
「私も好きですよ、お姉様」
にっこりと笑ったその表情。
いつも見てきた、その笑顔。
「…お姉様が思う通りで良いと思います
お姉様が無理に悩むことで辛くなるのは、私達にとっても辛いです
先程も言った通り、私はお姉様に笑っていてほしい
お兄様方はきっと、お姉様にちゃんとした答えを求めてはいない
別れる前に伝えたかったのでは無いでしょうか」
卒業の時。
それを境にして、私達は離れて行く
それが、Knightsの最後となるだろう日。
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まひる(プロフ) - 凛音@桜ト共ニさん» ありがとうございます!涙なんて、感動していただけるような作品が書けてとても嬉しいです!そうですね、飽きてしまう方が多いですが…そう言って頂けると凄く嬉しいです!最後までお読みいただきありがとうございました! (2017年4月5日 22時) (レス) id: 0f7815a34d (このIDを非表示/違反報告)
凛音@桜ト共ニ - 祝!完結です! 最後の方は涙が止まらず…私は長編物になると飽きちゃうんですけど、作者様の文才に惹きつけられたみたいです♪これからも応援しています♪ (2017年4月5日 21時) (レス) id: e79ec8aaed (このIDを非表示/違反報告)
まひる(プロフ) - とりねこさん» 嬉しいです…!ありがとうございます!そうですね、終わるのはとっても悲しいですが、最後まで読んでいただき本当に嬉しかったです!本当にありがとうございました! (2017年3月30日 7時) (レス) id: 0f7815a34d (このIDを非表示/違反報告)
とりねこ(プロフ) - とても良いお話でした!もうめちゃくちゃ感動しました!終わってしまうのは悲しいですが、心に留めておきたいと思います。最高でした! (2017年3月29日 23時) (レス) id: a8eb45403d (このIDを非表示/違反報告)
まひる(プロフ) - うさみんとさん» ありがとうございます!安心しました…!最後まで読んでいただきありがとうございました!これからも精一杯頑張ります!本当に、ありがとうございました! (2017年3月29日 15時) (レス) id: 0f7815a34d (このIDを非表示/違反報告)
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