177 先輩の顔として ページ27
瀬名side
Aに、危ないから中入ってなと言って中に入らせて。
危ないとはいえ、ここの警備はしっかりしているから、そこそこ安全なのではあるが。
「…」
イヤホンを片手にため息を吐く。
すると突然、耳に響く声。
「泉さん?」
俺はその声にまたため息を吐く。
さっきため息を吐くと幸せが逃げるなんて言った自分が嫌になる。
「なぁにゆうくん
最近やけに俺に構うねー、俺がそんなに好き?」
笑って見せると、ゆうくんは予想通り首を直ぐに横に振った。
「そんなこと言ってないし
泉さんがいうほどに絡んでもないよ!!」
「…じゃあなんなわけぇ?
俺に抱かれたい?歓迎するけどぉ、」
「気持ち悪いっ」
ヒィと雄叫びを上げたゆうくんが、
ぼそりと呟く。
「…最近の泉さん、情緒不安定みたいに、極端に嬉しそうだったり悲しそうだったりするから……
どうしたのかなぁって思っただけだから……」
「ゆうくんそんなに俺のこと見てたの?
お兄ちゃん嬉しいなぁ…♪ 」
「そんなんじゃないから!!」
全力で首を振ったゆうくん。
「A先輩がそんなに好き!?」
「は?」
「泉さん、A先輩と仲良さそうだから!」
「……ゆうくんには関係ないでしょぉ」
「好きなのね!!!
A先輩綺麗だし良いんじゃない?
それで僕にもう関わらないでくれたら最高なんだけど」
「それは約束できないけど
ゆうくんどんだけなの」
深くため息を吐いた俺に、
ゆうくんはビッシリと指を指して言った。
「お兄ちゃんだか先輩だか知らないけど!!
返礼祭までそんな顔されてるの迷惑だよ!!
って言ってた!!!」
「は??」
「これ頼まれただけで好きで泉さんと話してる訳じゃないから勘違いしないでよ!!」
仔犬のようにきゃんきゃん騒ぐゆうくんをぼんやり眺めて。
俺は言った。
「……良い子だねぇ、ちゃんと素直に頼まれてくれて」
「…んん??」
「…じゃあ、お兄ちゃんからゆうくんに一つ頼み事
その依頼主とやらに伝えてよ」
お節介な俺の仲間達へ。
凹んでなんかいない。
諦めてなんか無い。
いつか奪い取ってやる。
「……俺を誰だと思ってんの、バーカ
ってね」
.
.
137人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「あんスタ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まひる(プロフ) - 凛音@桜ト共ニさん» ありがとうございます!涙なんて、感動していただけるような作品が書けてとても嬉しいです!そうですね、飽きてしまう方が多いですが…そう言って頂けると凄く嬉しいです!最後までお読みいただきありがとうございました! (2017年4月5日 22時) (レス) id: 0f7815a34d (このIDを非表示/違反報告)
凛音@桜ト共ニ - 祝!完結です! 最後の方は涙が止まらず…私は長編物になると飽きちゃうんですけど、作者様の文才に惹きつけられたみたいです♪これからも応援しています♪ (2017年4月5日 21時) (レス) id: e79ec8aaed (このIDを非表示/違反報告)
まひる(プロフ) - とりねこさん» 嬉しいです…!ありがとうございます!そうですね、終わるのはとっても悲しいですが、最後まで読んでいただき本当に嬉しかったです!本当にありがとうございました! (2017年3月30日 7時) (レス) id: 0f7815a34d (このIDを非表示/違反報告)
とりねこ(プロフ) - とても良いお話でした!もうめちゃくちゃ感動しました!終わってしまうのは悲しいですが、心に留めておきたいと思います。最高でした! (2017年3月29日 23時) (レス) id: a8eb45403d (このIDを非表示/違反報告)
まひる(プロフ) - うさみんとさん» ありがとうございます!安心しました…!最後まで読んでいただきありがとうございました!これからも精一杯頑張ります!本当に、ありがとうございました! (2017年3月29日 15時) (レス) id: 0f7815a34d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ