171 一筋の光が ページ21
「……私、」
皆が戻ってきたレッスン室で、ぽつりと呟く。
嵐は首を傾げ、泉は私の顔を覗き込む。
凛月は目を擦って起き上がり、司は手に持っていたカップをテーブルに置いた。
そして珍しく、レオもその手を止めた。
「………あ、……あのさ
聞いてほしい事があるんだけど
…いや、聞かなくても良いんだけど」
「どっちよ」
凛月が苦笑いで突っ込んで、私は愛想笑いをする。
「……これから言うのは独り言
なにも言わなくたって良い」
さっきとは大違いで物凄く静かなレッスン室に、私の声は響く。
「私、アイドルなんてどうでも良いと思ってた
単なる観客のお人形、って感じだと」
司が黙って差し出した湯気が上がるカップを手にして、続ける。
「…何がしたいのか、わからなかった
というか考えたこともなかった」
赤い紅茶に、私の顔が写る。
グラビアの時では考えられない、美しくもない、いたって普通の。
「…私、Knightsの憧れでいたい
笑顔を作れる存在になりたい
いつまでも、皆に笑っていてほしい
私は皆が大好き
誰が一番特別とかそういうのは無い。
でも他の何より、皆が大好きだ
それは、わかってほしい」
瞳はまっすぐ、目の前の皆へ向ける。
目をそらす者、まっすぐ見つめ返す者。
それはそれぞれだ。
「……私は、アイドルとしてまた活動しよっかなって、思うんだ
ブランクだって当然あるし、形式上は私は留年って形でここにいるから、それで年齢のズレもある
…簡単じゃないと思う」
いつしかこんなにも頼りなく、か細く見えるようになった自分。
「…でも、私は、そうしたい
Knightsの皆の前で、胸を張って、笑顔で、会えるようにしたい」
ここに来て、皆に会って、
心を知った。敗北を知った。仲間を知った。
「レオ、凛月、泉、嵐、司」
剣を抜く決意を。
飛び立つ、準備を。
「私は返礼祭で、Knightsの姫じゃなくなる
いいや、一度抜けた時から、私はもうKnightsの姫じゃないけれど
皆がもう一度迎え入れてくれたからここに立つことができる
私は、Knightsとして返礼祭でステージに立つことはできないけど
その日まで、私は皆の姫でいたい」
.
残り少ない日々を
君達の隣で、過ごしていたい
.
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まひる(プロフ) - 凛音@桜ト共ニさん» ありがとうございます！涙なんて、感動していただけるような作品が書けてとても嬉しいです！そうですね、飽きてしまう方が多いですが…そう言って頂けると凄く嬉しいです！最後までお読みいただきありがとうございました！ (2017年4月5日 22時) (
レス) id: 0f7815a34d (このIDを非表示/違反報告)
凛音@桜ト共ニ - 祝！完結です！ 最後の方は涙が止まらず…私は長編物になると飽きちゃうんですけど、作者様の文才に惹きつけられたみたいです♪これからも応援しています♪ (2017年4月5日 21時) (レス) id: e79ec8aaed (このIDを非表示/違反報告)
まひる(プロフ) - とりねこさん» 嬉しいです…！ありがとうございます！そうですね、終わるのはとっても悲しいですが、最後まで読んでいただき本当に嬉しかったです！本当にありがとうございました！ (2017年3月30日 7時) (レス) id: 0f7815a34d (このIDを非表示/違反報告)
とりねこ(プロフ) - とても良いお話でした！もうめちゃくちゃ感動しました！終わってしまうのは悲しいですが、心に留めておきたいと思います。最高でした！ (2017年3月29日 23時) (レス) id: a8eb45403d (このIDを非表示/違反報告)
まひる(プロフ) - うさみんとさん» ありがとうございます！安心しました…！最後まで読んでいただきありがとうございました！これからも精一杯頑張ります！本当に、ありがとうございました！ (2017年3月29日 15時) (レス) id: 0f7815a34d (このIDを非表示/違反報告)
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