第十二幕 『 二つの世界 』 ページ45
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「…え?Aが霊術やるの?」
「えっ、……無理でしょうか…」
「いや、無理じゃないんだけど
一応こっちの世界の人じゃないんだし、…
……おまえ、あっちの世界に一回戻った?」
「……戻れるんですか?」
「セナに頼めば行けるけど……その様子だと行ってないんだな
こっちの世界とあっちの世界の時間の進みは違うんだ
あっちが1日進むと、こっちは1分進む
だから、あっちの世界はもうおまえのいたところじゃなくなってる」
筆を走らせたまま、レオさんはとんでも無いことを言う。
「セナに聞いてなかったか?」
何も言えずにいると、レオさんは小さな声で呟いた。
「…………あいつ何も言ってないんだな」
その横顔は、何故か恐ろしくもあった。
「…あっ、……あの、…イズミさんは何も悪くは…」
「うん、知ってる
あいつは良い奴だよ、凄く。」
表情と、言っている事が矛盾している。
「…あ、の……」
「…優しいから、言えないんだよ
おまえをこっちに連れてきて、…それがどんな理由であれ、一人の人間の将来を狂わせた」
「……そんなことは、」
「…………。
おまえはもうあっちに戻れない
それは言っておく。戻っても、帰るところがない
恨むならセナじゃなくておれを恨め
全ての原因はおれにあるから」
「………う、恨むなんか……っ……
しませんっ………」
キョトン、とした顔をして、レオさんは言った。
「……え、恨まないの?」
「恨むことなんて、無いんです」
「帰れないんだぞ?あっちに」
筆は止まっていて、その揺れた瞳はまっすぐ私に向いている。
「…構いません
みなさんがいるので」
黙り込んだレオさんは、一回俯いてから
私に笑顔を向けた。
「…そっか。
強いんだな、おまえ
優しいんだな、セナみたいに
綺麗だ、おまえのその瞳」
風は私達の微妙な間を優しく突き抜けて
冷たい冷気が、肌をそっと撫でた。
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「すんごく面白いや
そんな、おまえの変なとこ」
向けられた笑顔は、何だか太陽のようだった。
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まひる(プロフ) - ルーズリーフさん» はい!ありがとうございますσ(*´∀`*) (2017年1月18日 17時) (レス) id: 0f7815a34d (このIDを非表示/違反報告)
ルーズリーフ(プロフ) - 描いたらTwitterにでも載せさせて頂きますね! (2017年1月18日 17時) (レス) id: 9ef140d722 (このIDを非表示/違反報告)
まひる(プロフ) - ルーズリーフさん» はい!ぜひ~っ♪ありがとうございます!頑張りますね♪ (2017年1月18日 17時) (レス) id: 0f7815a34d (このIDを非表示/違反報告)
ルーズリーフ(プロフ) - 本当良いんですか?!嬉しいです早速描かせていただきます!2章も楽しみです♪ (2017年1月18日 17時) (レス) id: 9ef140d722 (このIDを非表示/違反報告)
まひる(プロフ) - ルーズリーフさん» お描きになってくださいって言い方はおかしいですけど…笑 描いていただけるのならこちらとしてはすごく嬉しいです(*´ω`*) (2017年1月18日 7時) (レス) id: 0f7815a34d (このIDを非表示/違反報告)
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