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零子はジトリと大我を睨み、受け取ったコートに袖を通す。コートを羽織る間大我はじっと零子のその姿を見つめ。それに気づいた零子は首を曲げて言った。
「なんだよ、さっきから気色悪ィな」
「いや……。なんでもない」
ファスナーを上げ、ぴっちりと首元まで閉めれば。大我は漸く目線を逸らし扉の前から退く。その顔はどこか残念そうで、ますます何を思っているのか気になったが口を割る気はないのだろうと思い零子はそのまま「じゃあな」とその場から去るのであった。
大我はその場に佇み、片手で顔を覆う。そして大きなため息を洩らすとしゃがみ込んでガシガシと頭を掻いた。先程の零子の姿が頭にちらついて離れない。
「ラッキーだったな……」
当日はあの衣装では無い、ということは。あの衣装を見られたのは今日だけということになる。もしこの部屋に来なければ偶然あの姿に出くわすことも無かっただろう。端から見れば一切変わっていないように見えるかもしれないが、ニコから見るとこの後の大我は大変上機嫌だったらしい。
あとがき
むっつり大我さん
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作者名:サインバルタ | 作成日時:2019年9月25日 10時