・ ページ31
四人は前のめりでCMを見始めた。有名メーカーのお菓子のCMだ。
「これかな？」
しかし、結局季実子は出ず次のCMに変わる。スマホゲームのCMのようだが、これも違うらしい。しかし、その時は突然訪れた。
『ランランラン、ランドセルは〜』
「ヒィッ！」
惣一の部屋から季実子の悲鳴が聞こえる。どうやらこれらしい。
「これって、有名なランドセルメーカーの……」
「鞄って、もしかして……」
新一年生であろう幼稚園児達に、先生が呼びかける。
『ねぇ皆！今日は小学生のお姉さんに、カッコよくなれる秘密を教えてもらうわよ〜
』
『わーいやった〜！』
そして、先生に呼ばれてやって来たのが。
『いい子の皆〜！わたしは小学六年生の、季実子お姉さんだよ〜』
赤いランドセルを背負った季実子。その人であった。これには一同大きく目を見開く。万丈に至っては思い切り吹き出していた。
『カッコいい小学生は、ペガサスの羽じゃないと！』
『ぺがさすのはね〜？』
『ランランラン、ランドセルは〜ペガサスの羽〜』
「あああああああ！！！」
惣一の部屋から発狂する季実子の声が聞こえてくる。遂には万丈だけでなく美空も吹き出してしまい、二人して「小学生！季実子小学生！」と笑い転げ始めた。惣一と戦兎は苦笑いし、画面を凝視する。
『さぁみんなも一緒に！』
『ペガサスの〜羽〜！』
「ギャハハハハ！！！ヒヒッ……ヒヒッ……！二十三の大人が！小学生！」
惣一の部屋の扉が開き、季実子がツカツカと歩み寄って来る。そしてリモコンを手に取りテレビを消すと、床に座る万丈の首に腕を回し。
「あでででで！！ぐるしっ！息がッ……！」
そのまま締め上げた。
「落ち着け季実子！凄い良いCMだったから！」
「良いCM！？わたし小学六年生なんですよ！？」
「若く見えるってことでいいじゃん。ランドセル姿も可愛かったよ、季実子ちゃん」
「うぅ、惣一さんがそう言うなら……」
「そうだよ！なぁ美空？」
「え、うん。可愛かったよ！あまりにも衝撃的過ぎて、つい笑っちゃったけど」
万丈を締める腕の力が緩み、彼はその隙に抜け出す。
「死ぬかと思った……」
「戦兎さんは？どう思いました？」
「え、俺？俺は正直……。ムラムラしました」
今度は戦兎が締め上げられるのだが。彼のその顔はどこか嬉しそうだったと後に皆は語る。
あとがき
季実子にCM出演依頼来るなら多分ランドセルだろうなという妄想から生まれた話でした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 10人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：サインバルタ | 作成日時：2019年9月25日 10時
