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なんか、なーんか。こう……。この姿って。

「っ……!」

思わず下を向く。貴利矢と店員は二人して心配そうにあたしの顔を覗き込んだ。やめろ、貴利矢。視界に入るな。視界に入ったら……。

「くくくっ……。ひぃ、ひぃ……!や、やめろ、ぷくくっ」
「え、いや。なにわろてんねん」
「だっておまそれ……。高そうな腕時計とかしてみろよっ……!ひひっ……!胡散臭いIT社長みてぇだぞアハハハ!」
「はぁ〜?胡散臭いIT社長?」
「お前、こういう系統の服着るの駄目だって笑い堪えられねぇ……!」
「そ、そんな!お似合いですよ!すごく……お似合い……でも、言われて見れば、胡散臭いIT社長みたいで……くくくっ」
「店員さんまで!?」

店員と共に大笑いする。今となっては何があんなにツボだったのかは分からないが(飽きた)。それでも、あの格好を思い出すとやはりアレは胡散臭いIT社長だなぁと思ってしまうのだ。

 あんまりにもあたし達が笑うものだから、貴利矢は拗ねて結局あの服は買わず。仕返しと言わんばかりにモード系の服で全身を揃え、あたしにあの嫌な思い出を蒸し返させるのだった。この時の二人の服は、箪笥の奥にひっそりと仕舞われ。きっと二度と着ることも無いだろう。まぁ熱りが冷めた今でも着たいとは思えないので、どうでもいいか。





あとがき
貴利矢さんのあの服って何系になるんやろ。
お兄系の一つ?
因みにわたしは店員に話しかけられそうな雰囲気を察知すると店を出るプロです。値札を見ようと服の中を弄ってると近づいてくるぞ、気をつけろ。

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作者名:サインバルタ | 作成日時:2019年9月25日 10時

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