検索窓
今日:15 hit、昨日:0 hit、合計:13,895 hit

ページ22

「それで、刃さんに思わずキスをしてしまう、なんてことがあるでしょうか?」
「あるわけが無いだろう。さっぱり意味がわからん」
「わたしもそう思います」

だが、彼女の聞きたいことはわかる。福添からキスをされたから彼のその真意がなんなのかを、福添と同性である俺に聞きたかったのだろう。というか……奴からキスをしたのか。思わず小さなため息が出て、それを聞いたらしいリコが首を傾げる。

「まぁ、少なくともただの同僚や部下だと思っている相手にそういうことはしないな」

尤も──あの副社長はリコのことを好きだからそうしたのだろうが。それを教えてやるほど俺は優しくない。それに、今彼女を送ってやっているのは俺だというのに、他の男の話を出されるのがあまり面白くないというのも少しある。正直、キスがどうだとかそんなことはどうでもいい。

 彼女の住むマンションに着くと、彼女は立ち止まり深々と頭を下げた。

「あの、ありがとうございました。諫さんもお気をつけて」
「……あぁ」

妙だ。このまま帰すのが惜しいと思ってしまうだなんてどうかしている。ずっと仕事漬けだったからか、頭が沸いているのかもしれない。

 だから、今からすることも頭がおかしくなったせいだ。

「諫さ……!?」

一歩彼女に近づき、彼女の頬に手を添えキスを落とす。そして、彼女が正気を取り戻す前に背を向け。俺は振り返ることなく帰路についた。かっこつけたわけではない。ただ単に、彼女の顔を見る勇気が無かっただけだ。






あとがき
今日のゼロワン、福添さんの出番無くてほんま無理やねんけど……(2019/10/6)
夢主の不破さんの呼び方間違えたので書き直しました(2019/10/8)

イメチェンはほどほどに【九条貴利矢】→←・



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 8.7/10 (6 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
10人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:サインバルタ | 作成日時:2019年9月25日 10時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。