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「えっと、それで。3rdシングルがすごく売れたノデ。センターを努めた愛花にタクサン仕事が舞い込んできたんデス」
「元からスタイルが良くて、個人でモデルの仕事も結構あったのに、更にCMとか番組とか色々一気に来てしまったので……。多分、疲れてたんだと思います」

デビューの頃から注目されていたグループだ。実力も伴ってきたともなれば、引っ張りだこになってしまうのは仕方ないことなのだろう。しかし、未成年の子がストレスで倒れてしまうまでとは。計り知れない苦労があったに違いない。そして、それを支えるこの二人も。なんにせよ、彼女のストレスの原因を突き止められたことは大きい。取り敢えず今は手術の成功を祈らなければ。その旨を彼女らに伝えると、二人は力強く頷きお互いの手を握り合っていた。

「まさかマカロンズの話してたら本当に来ちゃうとはな……。でも、こんな形で会いたくなかったなぁ、永夢」
「……はい」

 飛彩さんから手術成功の連絡が入ったのは、それからすぐのことだった。しかし、ゲーム病だけでなく過労もあったらしく愛花は眠り続けており、数日の安静が必要だ。容態は安定しているが、今夜は目覚めないだろう。夜遅いからと帰らされた未成年であるジェイミーの分まで、西城季実子がずっと愛花を見守っている。その姿が目に入ってしまったせいか、僕は貴利矢さんからの問いかけにも生返事になってしまった。

「聞いてる?おい永夢、永夢。心配なのはわかるけど」
「……いえ、心配はあんまり無いです。手術も成功しましたし、季実子ちゃんが言うにはいくつか愛花ちゃんの仕事を断って、調整するからという連絡が事務所からあったみたいですから。あの事務所はアイドルを大切にすると定評のあるホワイト事務所ですからね。きっと愛花ちゃんが再発することは無いと思います。ただ……」
「ただ?」
「いつサイン貰おうかなって考えてます」
「はぁ??」
「だってだってだって!激務だからコンサートにもなかなか行けないし……!推しがあんなに近くにいるのに……!」
「推しって……。あぁ、まさか永夢」
「あっ」

しまった。ジェイミーは帰ってしまったし、愛花ちゃんは眠っている。そんな中"推しが近くにいるのに"などと口走ってしまったら、誰のことを指しているのかなど丸わかりだ。

「ははーん、やっぱそうなのかなって思ったけど、永夢の推しはあの黒髪の子なんだ。イメージ通りすぎて逆にびっくり」

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作者名:サインバルタ | 作成日時:2019年9月25日 10時

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