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「わたしも行っていいんですか?」
「あぁ。俺と行動していれば、俺の計画もいずれ知ることになるだろう」
「普通に教えてはくれないんですね」
「それじゃあ面白くないからな」
正直なところ季実子としては、惣一の計画など知らなくても困らなかった。ただ、自身がこの先ずっと彼と並んで歩けるのならば、それでよかったのだ。勿論、多少興味はあるので彼と共に行動するというのは嬉しい誘いである。彼女は惣一の大きな手をぎゅっと握りしめると、立ち上がり。二人並んで崩れゆく足場を軽やかに歩き始めるのだった。
難波会長の部屋に通され、惣一に促されるまま中へ入ると、待ち受けていた難波は季実子の顔を見て訝しげに首を傾げた。
「このお嬢さんは、一体どういうことかね?」
「西城季実子と申します。わたしのことはあまりお気になさらず。何も口出しは致しませんので」
柔らかな態度、口調で。それでいて有無を言わせぬ目つきで。彼女は深く頭を下げると、すぐ惣一の背後へと回った。
「彼女の言うとおりですよ。ただ、信用には足る人物かと」
惣一の為ならば絶対裏切りはしない。そう考えれば、確かに西城季実子は信頼できるパートナーになり得る。だが、難波は特に興味が無かったのか、惣一の言葉に「そうか」とだけ返すと。少々釈然とはしないまでも、目に見える警戒心を取り払い、革張りの椅子に腰掛けた。それを見届け、惣一もパンドラボックスとフルボトルを来客用の机に並べる。難波は目的の物を目にし、感心したように息をゆっくり吐いた。
「お前は本当によくやるな」
「お褒め頂き光栄ですね……。さて、パンドラボックスに必要なボトルの浄化はこれで完了。会長は、この箱を開けてどうするつもりですか?」
「中に眠っている強大なエネルギーを使って、核兵器を超える軍事兵器を作るんだ。それが、我々の仕事だ」
「怖いなぁ」
自身の肩を抱いて戯けて見せる惣一は完全にスルーし、難波は杖をつきながらフルボトルを置いてある机へと近づく。そして、その中から一つ拾い上げると、口を開いた。
「相性のいいボトルを組み合わせれば、光るんだったな」
早速試すつもりなのだろう。ラビットフルボトルをパンドラボックスに嵌める。しかし。
「ミスマーッチ!」
聞き覚えのある声が室内に響いたかと思うと、その声を皮切りに、他のフルボトル全てがポンポンと煙を上げ「ミスマッチ!」と言いながら小爆発を起こしていった。
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うれい(プロフ) - Haiterさん» コメントありがとうございます!マスターと夢主のやりとりは一番楽しんで書いているところなので、お褒めいただき嬉しい限りです!夢主まで好みと言ってくださるとは……!これからも性格の悪い彼女が暗躍しますが、彼らの幸せを願って下さると幸いです^^ (2018年12月9日 15時) (レス) id: 41522bcf43 (このIDを非表示/違反報告)
Haiter(プロフ) - 初めまして、コメントさせていただきます。マスターとヒロインのやり取りが可愛くてニヤニヤしながら、毎回読ませて頂いてます!ちょっとダークなヒロインも好みで大好きです!これからも更新楽しみにしております(*´▽`*) (2018年12月8日 23時) (レス) id: fd3983f77f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サインバルタ | 作成日時:2018年11月20日 6時