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「駄目ですー!っていうか、なんで戦兎さんなんですか。美空ちゃんの方に行けってんならともかく」
「おい、やめろ。やめろ二人とも。なんか俺が怪我しそうな気がしてきたから、おい」
「お前戦兎の気持ちにもなってみろよ」
「戦兎さんの気持ちになったからといってここは譲れません!」
「戦兎の気持ち?」
はてなを浮かべる石動親子を余所にヒートアップしていく季実子と龍我。そして、必死にそれを止める戦兎。だがこの戦いは、この後すぐ季実子と万丈の失言によって幕を閉じることとなる。
「戦兎さんがわたしを好きだからって、はいそうですかって引けるわけないじゃないですか!」
「戦兎がお前を好きって分かってんならマスターといちゃついてんじゃねぇよ!」
「最悪だ……」
いよいよ二人が口走ってしまった真実に。戦兎は耐えきれず顔を両手で覆ってそのまま後ろへと倒れ込み、炬燵布団に顔を埋めた。可哀想に、彼は一番の被害者だ。
「別に二人のイチャつき見せ付けられんのはもう慣れてるし……。余計なお世話だよ万丈……。っていうかいつから気づいてたんだよ万丈」
「すまねぇ……。お前が最近寝言で季実子季実子ばっか言ってるから」
「えっ、それは知りませんでした」
「えぐるなよこのバカ……。っていうか季実子も季実子だよ。いつから気づいてたんだよ……。っていうか気付いてるならなんでマスターといちゃつくんだよ」
「す、すみません……。気を遣うと逆にアレかなと思って」
「ごめん戦兎、わたし全然知らなくて。お父さんを季実子にけしかけたりして」
「なんかごめん、戦兎。季実子ちゃんといちゃついて」
「うわぁぁぁあマスターからの謝罪がいっちばん、腹立つ!!」
落ち込んだかと思われた戦兎だったが、彼は惣一への怒りに任せて勢い良く起き上がると、寿司の大皿を持ち上げた。
「ムカつくのでこれは全部俺が食います」
「えっ」
そして戦兎は炬燵から出ると、店内へと続く階段を駆け登って行った。龍我が「おい!それとこれとは話が別だろ!」と、追い掛けようとしたが。美空に制され諦めた。
「万丈さんが文句を言い出さなければこんなことには……」
「そもそもお前が戦兎の前でマスターにくっついたりしなきゃこんなことにはならなかったんだよ!」
「二人ともステイ!ステイステイ!!」
美空にはなんとなく逆らえない。そう思いつつ、二人は押し黙る。
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うれい(プロフ) - Haiterさん» コメントありがとうございます!マスターと夢主のやりとりは一番楽しんで書いているところなので、お褒めいただき嬉しい限りです!夢主まで好みと言ってくださるとは……!これからも性格の悪い彼女が暗躍しますが、彼らの幸せを願って下さると幸いです^^ (2018年12月9日 15時) (レス) id: 41522bcf43 (このIDを非表示/違反報告)
Haiter(プロフ) - 初めまして、コメントさせていただきます。マスターとヒロインのやり取りが可愛くてニヤニヤしながら、毎回読ませて頂いてます!ちょっとダークなヒロインも好みで大好きです!これからも更新楽しみにしております(*´▽`*) (2018年12月8日 23時) (レス) id: fd3983f77f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サインバルタ | 作成日時:2018年11月20日 6時