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「最後は僕の弁解だな……。急ですまないが、実は北都でのコンサートが決まった。本当はもっと急になる来週、お前達に知らせるつもりだったんだが」
「本番はいつなんですか?」
「三週間後だ」
「えぇっ!?」

マカロンズ三人と、トレーナーの大声が重なる。

「なんでそんなことを直前まで黙ってるつもりだったんですか!?」

食ってかかろうとする愛花を制し、季実子は一歩前に出て細坪を見据えた。きっと何か理由があってのことなのだろう。取り敢えず細坪の説明を待つ。

「そもそも話が来たのもつい最近だったんだよ。北都政府から直々に依頼が来てね」
「北都政府から!?」

思っていたより話が大きくなっていることに、季実子らは開いた口が塞がらない。何故地下で燻っている弱小プロダクションの一アイドルが。全く考えもしなかった答えに、一同は頭を抱えた。

「そこまで大層に考えなくてもいい。何も首相や官僚の前で歌って踊れというわけではないからね。北都は今困窮が続いていて国民に元気が無いから、やって欲しいと言われただけなんだ。まぁ、それを全て信じているわけでも無いけれど……。そのコンサートの模様を東都、西都、北都共通のネット配信サイトで中継するというチャンスを貰ったのだから、仕方ない。何故我々が呼ばれたのか、詳しくは僕も知らないんだ」
「知らないって……。北都や西都は、表向きにはただ分断されているだけの都ですが、実際東都とはどちらも牽制しあっている冷戦状態なんですよ?」
「えっ、そうなんですか?」

季実子の両隣で、愛花とジェイミーが目を見開く。細坪からも疑念の目を向けられ、彼女は思わず押し黙った。気が緩んで戦兎達に対する態度と混同してしまったようだ。ただの一般人の反応とは言い難いその様子に、細坪は何かを感じ取ったらしい。普段より一段低い声で彼女に問い掛ける。

「……季実子、お前は一体何に関わっているんだ」

あぁ、失敗した。季実子は頭の中で数秒前の自分を恨んだ。恐らく昨夜のあの出来事で頭が一杯なせいだろう。いや、もっと前かもしれない。惣一に対して嫌疑を向け始めた、あの時から。きっとそうだ。「それは──」季実子は密かに冷や汗を垂らしながら、頭を働かせた。誤魔化すなんて優しいものではない。自身に対する疑念を綺麗さっぱり取り払わねばならないからだ。

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設定タグ:仮面ライダービルド , 石動惣一 , エボルト   
作品ジャンル:ラブコメ
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うれい(プロフ) - Haiterさん» コメントありがとうございます!マスターと夢主のやりとりは一番楽しんで書いているところなので、お褒めいただき嬉しい限りです!夢主まで好みと言ってくださるとは……!これからも性格の悪い彼女が暗躍しますが、彼らの幸せを願って下さると幸いです^^ (2018年12月9日 15時) (レス) id: 41522bcf43 (このIDを非表示/違反報告)
Haiter(プロフ) - 初めまして、コメントさせていただきます。マスターとヒロインのやり取りが可愛くてニヤニヤしながら、毎回読ませて頂いてます!ちょっとダークなヒロインも好みで大好きです!これからも更新楽しみにしております(*´▽`*) (2018年12月8日 23時) (レス) id: fd3983f77f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:サインバルタ | 作成日時:2018年11月20日 6時

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