第53話 ページ3
舌打ちしたリヴァイにAはムッとした。
なんと勘の鈍い男だろう。
あと単純に舌打ちした時の表情がムカついた。
「何か言いたそうな顔だな」
「え、いえ」
心の中を読まれたらしかった。
「なんだ、言ってみろ」
「いえ。なんでもありません」
「俺はそういう態度が一番流せねえんだよ」
「ほ、ほっといてください。どうせ私なんてエルヴィンのストーカー女ですから」
「ほお…よくそれを憶えてたな」
これはリヴァイの部屋で飲んだ時に言われた言葉だった。
「覚えてますよ。エルヴィンのストーカー女で、粘着質で未練がましいから、見ていてイライラするって仰ってましたね」
「言ったな。ついでに兵士でもやめて食い物屋でもやってろともいったな」
「仰ってましたね。私みたいなやさぐれた女ばっかりが集まる店でもやれば儲かるって。いっそのことそうしようかと迷ったくらいのセンスの良さです」
「ついでに料理の腕も上がるからな。そうすりゃもうちっとマシになるんじゃねえか。店やったら行ってやるよ」
「来なくて結構です。常連さんのイケメンと知り合ってその人と幸せになりますから」
「待て待て待て。お前の店はやさぐれ女の店だぞ。イケメンが行くわけがねえだろう」
「来ますから!それに、やさぐれ女の店なんかにしませんし」
途中からやる予定もないAのレストランの話になってきて、その辺りからチラホラ人だかりができていた。
「大体見ていてイライラするならほっといてください」
「お前があいつの傍でウロウロするから嫌でも視線に入ってきて気になるんだろうが。何も言われたくなけりゃどっかいけ」
手をヒラヒラさせてそう言ったリヴァイに流石にカチンときたAは、もう表情を隠すこともなく踵を返す。
「な、」
「あ?」
「なによ!分かりました!どっかに行くわよ!だからもう関わらないで!その方が恋人サンにもいいでしょうし!」
「だからなんだそりゃあ」
リヴァイに背を向けて歩き出したAのすぐ目の前には、騒ぎを聞いていたエルヴィンが立っていた。
その姿を見て初めてギャラリーに気付く。
「なんだ?店でもやるのか」
含み笑いでそう言われてAには珍しく顔を赤らめる。
「やらないわよ!エルヴィンの馬鹿!」
そういうと走っていって自室に戻っていった。
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作者名:ララ | 作成日時:2020年11月25日 0時