第68話 ページ18
掃除を終えたリヴァイが帰ろうとしたので、Aが引き留める。
「兵長」
「ん？」
「あの…ありがとうございます。でも、もう大丈夫ですから」
「どこがだ。ハンジの野郎は毎日のように来るくせに散らかして帰ってんだろうが。てめぇも自分のゴミすら捨てられちゃいねえしな」
言いながらリヴァイはゴミ袋を持ち上げる。
どうやらその片付けの為に毎日このくらいの時間にきてくれているようだ。
「でも…その。私が言うことではないかもしれませんが、ペトラの所に顔を出してみてはいかがでしょう。班員ですし」
その名前にリヴァイの眉間がピクリと動いた。
夕日が差し込んでいた部屋は、もう薄暗くなっていた。
「今はペトラの傍にいてあげてください。彼女も壁外調査で疲れているでしょうし…怪我をしてしまったんですよね？」
リヴァイは眉間にしわを作る。
「班員でもありますし、ペトラの傍にいてあげてください。兵長が行ったらきっと元気になると思うんです」
「……。お前はどうする。明日からはエルヴィンでも来てくれんのか」
「それは分かりませんけど。…でもハンジは毎日着ますし、モブリット君も。それに調子が良ければあと数日で退院できるみたいですし。兵長にはお茶のセットまで作っていただいて感謝しています」
「なら尚更手伝ってやる。退院するのに無理したら、時期が延びるだけだろ」
「大丈夫です！」
「満足に自分の世話も出来ねぇくせに…」
「できます！」
リヴァイはAを睨みつけながら正面に立つ。
「でめぇは…いい加減にしろよ。この跳ねっ返り女」
「なんですか？また私がいかにしつこいかって話でもしますか？暴言男」
すばらくにらみ合った末、あからさまにイライラした顔をしたリヴァイは舌打ちをして部屋を出て行った。
リヴァイが出て行った後、Aは胸をなでおろした。
(…これでいい)
これでリヴァイはここに来ないだろう。
どこか寂しくもあったが、もうこれでいい。
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作者名：ララ | 作成日時：2020年11月25日 0時
