第65話 ページ15
夕方。
他の兵士が夕食で食堂にいる頃。
またもリヴァイが現れた。
エルヴィンに頼まれたと言ってAの好きなクッキーを渡される。
「エルヴィンがこれを?」
「ああ」
それはAが最近ハマっているクッキーだった。
リヴァイは体調や怪我の具合を簡単に聞くと、Aが届かない場所の掃除や整理をし始めた。
(なんなのよ。エルヴィンの奴。兵長を仕向けて何のつもりなの?)
Aは手元のクッキーを見る。
何故エルヴィンは直接来ないのだろう。
わざわざリヴァイに自分の好物を持たせるなんてやることが遠回しすぎる。
何かしらのルートでリチャードとのことを知っていて気を遣っているのだろうか。
「おい」
声をかけられて顔を上げると、リヴァイがセンスの良い小さな箱を持ってこちらを見ていた。
中には小さなティーポットやカップが入っている。
「この中にこの部屋のポットとカップがちょうど入った。ここに置いとくから客が来たら出すといい」
そう言いながらベッド下の収納スペースに箱を滑らせるべくしゃがみこんだ。
「…?」
「見舞客の度にわざわざあの棚まで行ってるんだろう」
ベッド脇でゴソゴソしているリヴァイの頭を見ていたAに気づいたのか、顔をあげたリヴァイはベッドと反対側の壁にある食器などが置いてある棚に目配せをした。
箱の設置を終えたリヴァイは身支度を整えると「また来る」とだけ言い残して帰っていった。
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作者名:ララ | 作成日時:2020年11月25日 0時